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2001/10/04
<衆院予算委>"湾岸シンドローム”にとらわれた政府与党の対米追随に「釘」〜菅幹事長
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衆議院予算委員会は、4日、5日の両日、全大臣出席の下で総括質疑を行った。民主党・無所属クラブから菅直人幹事長、仙谷由人、横路孝弘、城島正光の4議員が質疑を行った。
トップバッターの菅幹事長は冒頭、1日に行われた衆議院本会議での代表質問への答弁で、原稿の棒読みに終始した小泉首相を批判。棒読みは避けてほしいと釘をさして議論に入った。
まず、小泉総理就任後の実績を分析したいとして「就任後162日を経過したが、何が進んだのか」と質した。小泉総理は、「私がやろうとすることを国民が支持してくれたからこそ、参議院選挙では民主党よりも多くの票を得た」と開きなおった。
菅幹事長は「国民の支持を得た内閣だからこそ、なおさら公約が守られているかどうかが重要だ」と強調し、議論を放置したまま不意打ちのような形で靖国神社を参拝したことで日中・日韓関係も深刻となった点を指摘。「米国同時多発テロ事件への日本の対応でも、本来ならば直接対話して意思疎通をはからなければならない中国・韓国首脳に対し、直接会談が行えない状況に陥っているのはマイナス」と問題提起。「新法で自衛隊を派遣する前に、中国・韓国両首脳と会って直接説明すべきだ」と要請した。
ブッシュ大統領と同じく米国同時テロを“新しい戦争”と位置づけている総理の認識を質した上で菅幹事長は、「従来の戦争と性格がちがうなら、対応も当然ちがってくるはず」として、国際的な警察機能のあり方などの検討も必要だとした。テログループに対する経済封鎖の国際網の確立なども提案した。
また、菅幹事長は、米国は個別的自衛権の行使、NATO諸国は集団的自衛権の行使に基づき行動しているのに対し、「どういう基本的考え方に基づき米国支援を行おうとしているのか」と質問。小泉首相は「アメリカ・NATO諸国は武力行使も辞さないとして行動している。しかし日本は武力行使をしない。国際協調の立場から、テロ根絶のために支援しようとしているだけ」と繰り返すだけだった。
菅幹事長は「湾岸戦争時に日本は巨額の資金援助だけで目に見える行動がなかったとの批判があり、そのため強迫観念、トラウマにとらわれている。「資金」ではなく「ヒト」での貢献を急ぐのは、そうした見方に捕われた対米追随ではないか」と指摘。「基地の提供など、米軍の作戦行動を日本ほど定常的に支援している国はない。何もやっていないというところからスタートする必要はない」と提起した。それに対して、首相は「日米安保条約は日本にとって必要不可欠。基地としての米軍支援では不十分。国として主体的にできることを考えるのが日本の役目だ」と答えた。
また菅幹事長は、田中外相が、米国同時多発テロ直後に米国務省の緊急避難先を記者団に漏らしたことに言及。「不用意だった。ただ実害はなく、米国から抗議もなかった」とする外相に、「実害があるということは、5機目、6機目が新しい場所に突入するということ」と指摘。「事務方から口止めがなかったから」と言い訳する外相の態度を、「自ら判断できないことを自らの口で明らかにした。外国からの信頼を失うだけでなく、国民の間にも不安が広がった」と厳しい口調で批判した。
菅幹事長は米国高官が語った“ショー・ザ・フラッグ”の認識にも言及。「態度を鮮明にする、支持していることを示す」ということではないかと質したが、小泉総理は「日本に協力を求めていると解釈している」とし、踏み込んだ協力体制を示した。
続いて、アフガニスタン難民支援について、菅幹事長は、現地で活動しているNGOスタッフからのレクチャーをもとに「活動にはノウハウの集積が必要であることを痛感した。机の上で考えていたものとはかなり隔たりがあった」と説明。
中谷長官は「状況によるが、自衛隊の能力と特性を活かした貢献が可能だ。ルワンダ・東ティモールなどで有効な活動を展開した」と答えたが、菅幹事長は、「本来、戦うためのものとしてつくられた軍を難民支援のために活用するのであれば、トレーニングを積まないと役立たないことになる」と問題提起した。難民支援は短期的発想ではなく長期的視野が必要なこと、また、NGOやUNHCRや周辺政府への多額の資金援助や物資援助など、自衛隊派遣だけでない有効な支援体制も吟味する必要があると指摘。“日本の姿勢を見せること”を目的化しそうな点に危惧を呈した。
深刻化している狂牛病問題については、「イギリスから、日本へ肉骨粉が輸出されたとするEU報告が農水省に伝わったのは事実か」と尋ねた。「90年から96年にかけて333トンの輸入されていた」とする武部農水相に対し、菅幹事長は「そこでどういう対応をとったかが問題。これだけの大事件を水際で止めることこそ役所の仕事」と迫った。菅幹事長は「直接の原因かどうかは別として、EUの指摘は的確だったかもしれない。とにかく調べるべきだ」と述べ、危機感のない政府の対応の甘さを批判した。
次に、構造改革について、菅幹事長は「なぜ、すぐにでもできることをしないで、時間がかかることといっしょに議論しているのか」と指摘。特に諫早湾の水門の問題は農水省の調査委員会さえも開けて調査すべきとしているのになぜ実行に移さないのかを質した。小泉首相は「専門家が調査中だ」とし、その結論をまって実行するので十分だとした。
また、一部を中選挙区にするという衆院選挙制度変更が与党で議論されている点について、小泉首相に尋ねた。「今後、どのような形でまとまるか見守る必要がある」とする小泉総理に、「民主党に有利かどうかの視点で指摘しているわけではない。政権交代を可能にするには小選挙区制がいいとの視点で与野党協議のもとで基本理念として確立したものであったはず」とし、新法成立にむけ、自民・公明両党が妥協した党利党略のバーター取引の産物であると指摘し、厳しく批判した。
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