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2002/06/24
衆院憲法調査会、札幌で第5回地方公聴会開く
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衆議院憲法調査会は24日、札幌市内で第5回の地方公聴会を開催した。出席した6名の意見陳述人からは、現行憲法の条文を改正するか否かにかかわらず、その平和主義、基本的人権の尊重といった理念は継承すべきだとする意見が相次いだ。民主党からは中野寛成会長代理、中川正春委員が出席した。
意見陳述では、会社代表の稲津定俊氏が日本の伝統文化に基づく普遍的価値を理念とした新憲法の制定を唱えたほかは、様々な観点から現行憲法の基本理念を継承・発展させる必要を訴えた意見が出された。地元で農業を営む石塚修氏は、前文および9条の徹底した平和主義を守るべきだとし、その上で環境が整えば、食糧・エネルギー資源自給国家をめざすという条項を加えたい、と述べた。北海道弁護士会連合会理事長の田中宏氏は、現行憲法の平和主義、基本的人権の尊重主義を守る観点から有事法制や個人情報保護法に反対する立場を表明するとともに、そうした追求よりも、多くの未解決の人権課題に取り組むべきだとして、アイヌ民族の権利侵害について問題提起した。
また、大学生の佐藤聖美さんは、個人情報保護法など国民の知る権利侵害の動きや男女共同参画社会への取り組みの遅れなどを取り上げながら、「憲法の理想が十分に実現されていない」と指摘。小樽商大教授の結城洋一郎氏は、基本的人権尊重の理念、一切の戦力保持を否定した9条は継承・発展すべきものとした上で、現行憲法の「改善の余地」として、国民の政治参加に関する直接民主主義的手続きを規定することなどを問題提起した。弁護士の馬杉栄一氏は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を保障するために「法の支配」を定めている憲法の趣旨に基づくものとして、司法制度改革を急ぐべきだと主張した。
質疑では各会派の8名の委員が順次陳述人に質問。中川委員は、まず結城氏に対して、PKO参加や多国籍軍への協力など、国連の存在を踏まえた世界への貢献のあり方について考えを質した。結城氏は、PKOなど国連を通じた貢献は積極的にやるべきだとした上で、問題はすぐに自衛隊を出そうとすることであって、非軍事的な貢献もいろいろあるはずだ、と述べた。
また中川委員は、アイヌの人権問題との関連で、日本の難民政策について質問。日本は外国人労働者や国籍を持たない人々を受け入れていくべきだという自身の考えを述べた上で、見解を質した。田中氏は、現行の厳格な難民制度の問題点として、難民認定の判断の正否を司法によってチェックできないことを指摘し、改革が必要だとした。また馬杉氏は、「アフガニスタンへの米軍の攻撃でどれほどの難民が出たか。日本はその後方支援をやっている。難民の問題にしっかり対応しなければ、後方支援の正当性も主張できないのではないか」と述べ、難民や政治亡命者を受け入れるべきだとする考えを述べた。
なお、中野会長代理は、後半の議事で座長を務めた。
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