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2001/10/09
<参院予算委>テロ組織の資産凍結の遅れ明らかに〜平田健二議員が追及
米軍のアフガニスタン空爆開始後、初の国会論戦となる参院予算委員会が9日行われ、民主党・新緑風会から平田健二、大橋巨泉、浅尾慶一郎の3議員が質問に立ち、テロ対策特別措置法案の早期成立を狙う小泉内閣と激しく論戦した。

 民主党・新緑風会のトップバッターは平田健二議員。8日に行われた日中首脳会談について、「中国側は対米支援の自衛隊派遣や、靖国神社の参拝問題に参拝したことに理解は得られたのか」と尋ねたが、小泉首相は「テロに対する対応については、国際社会がそれぞれの国の事情に応じて協力していきましょうという話があった。日中友好前進に向かってお互いの協力体制ができた」と答えたが、中国側の受け止め方には答えなかった。

 平田議員が「中国へ日帰りしたのは自衛隊派遣を理解してもらうためではないのか」と畳みかけたが、首相は「訪中の最大の目的は日中友好の前進を図るためだ」ととぼけた。平田議員はさらに、「中国政府は、アジアの皆さんにある警戒心を払拭してほしいということを言われたのではないか」と突っ込んだが、首相は「中国首脳は大人(たいじん)でして、具体的にははっきりとは言わない。穏やかな雰囲気の中で、与党と野党のような詰問調の話は一つもでなかった」と開き直った。

 続いて平田議員は、テロが日本国内で起きた場合の国内警備態勢について、「マニュアルはあるのか」と質問。福田官房長官は「万全なマニュアルをこれからつくっていかなければいけない」と答えたため、「ないということか」と追及したが、官房長官は「想像のつかないことが現実に起きている」など言葉を濁して明言を避けた。平田議員は「マニュアルをテロ新法より先につくって国民に安心を与えるのが先決じゃないのか」と批判した。

 難民支援について、平田議員は、「空爆の影響でアフガン難民が増えるだろう。国連から新たな救援要請は来ているのか」と質問。田中外相は「国連のPKOがまだ設立されていない。成立すれば検討したい」と答えたが、現在、航空自衛隊がPKO協力法に基づきパキスタンへ難民支援用の物資を輸送中で、野党席は「事実誤認だ」「不勉強だ」と騒然に。平田議員が「だったら今行っているPKOは何か」と再質問すると、中谷防衛庁長官が立ち上がり、「現在はPKO協力法による人道支援です」と助け舟を出した。田中外相も官僚の説明を受けて、「国連から人道、物資、資金支援の要請があった」と修正答弁。野党席からは「最初と違うじゃないか」「ないって言ったのに」とヤジが飛び、審議が一時ストップ。田中外相の不勉強ぶりがまたまた露呈した。

●「対米支援の前にやるべきこと、やってない」

 平田議員は、さらに、パキスタンに輸送機で到着した自衛隊員の武器携行について、「パキスタンが自国内での武器の携帯を拒否した、との報道はあるが事実か」と中谷防衛庁長官に問うと、中谷長官は「空港はパキスタン軍が厳重警戒しており、自衛隊員は航空機内のみ、けん銃を携行することで合意した」と答弁。平田議員が重ねて「拒否されたのではないか」と追及したが、「拒否ではない。何ら問題はない」と繰り返すばかり。

 平田議員は「パキスタン政府が武器持ち込みを断るのは主権国家として当然だ。テロ対策特措法で武器携行を緩和しても、(相手国の拒否で)持ち込めないのでは議論しても仕方がない」と法案の実効性の無さを指摘した。 

 続いて、国連決議によるテロ組織の資産、資金の凍結について、わが国での対応状況を平田議員が尋ねたが、田中外相は「告示は現在印刷中だ」とあいかわらず見当はずれの答弁。塩川財務相は「国連決議に基づくものは約160名。各銀行等に対して通達を出し、査定は終わっている。3名ぐらいの該当者がいる」と答えたが、平田議員は、「(対タリバーンの資産凍結を含む経済制裁を課する)国連決議1267は99年10月、(ビンラーディンおよび関係者の資産凍結等を求めた)決議1333は昨年の12月だ。総理は今回のテロ対策についてはあらゆる手段を講じると言っているが、こういうことが一番重要ではないか」「何もしていないということじゃないか、日本は」と指摘、政府の対応の遅れを糾弾した。財務相は「若干遅れていることは承知している。急いで実施していきたい」と答えた。

 このほか、平田議員は狂牛病問題、雇用問題についても質問をした。
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