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2001/10/15
<衆院テロ特別委>武器輸送問題を梱包上の効率に矮小化するな〜伊藤英成議員
衆議院テロ対策特別委員会で15日、一般質疑が行われ、民主党・無所属クラブから4人の議員が質問に立った。

 トップバッターは民主党安全保障ネクスト大臣の伊藤英成衆議院議員。伊藤議員は「今回の国際テロリズムへの対応は日本の生き様にかかわる問題だ。世界平和を重視する国として国際社会に位置づけられる行動であるべきだ」と前置きし、そうした視点に立ち、自衛隊を動かす場合の議会の関与、シビリアンコントロールの機能など、十分な検討が必要だと改めて指摘し、質問に入った。

 伊藤議員は、オサマ・ビンラディンを犯人と特定した根拠に関する小泉首相の12日の同委員会での報告について、「すべてが乏少とした感がある」とし、政府は直接的な証拠説明を米国政府から十分に受けているか、改めて質した。福田官房長官は「テロ発生以来、緊密に連絡をとっている。米国からの説明に基づき、日本政府は総合的に判断した」とした。

 また、日本国内におけるビンラディンに関連する組織の存在について伊藤議員が質したのに対しては、村井国家公安委員長は「情報の性質上、公開できない」と明確な答弁を回避。米国で新たな問題となっている炭疽菌への対応については、坂口厚労相に万全の対策をとるよう求めた。また、新たなテロ情報の収集についても、田中外相に要請した。

 続けて、パキスタン情勢の認識について、田中外相はこれまで同様「報道されているほどの状態ではなく、国全体としてはコントロール下にある」との見解をくり返した。これに対し、伊藤議員は「とても安心できる状態ではないはず」と指摘し、十分な状況認識の必要性を外務大臣に訴えた。また、「主権国家に対する自衛隊の行動はまさに有害無益だ」と伊藤議員は強調し、「好意的な対日感情が存在するパキスタンではなおさらのこと、アフガニスタンから難民を生み出さないための支援こそが求められている」と提起した。

 武器弾薬の輸送問題については、伊藤議員は、実務上の問題で武器弾薬を除外できないとする政府の主張に対し、「梱包上の効率話にすぎない」と批判し、「武器・弾薬・ヘルメットなどの物資はばらばらに存在するものであって、政府の説明のような“まぎれる”といった状態が発生する可能性は皆無だ」と指摘した。福田官房長官は「円滑な物資輸送のために、弾力的な運用が必要だ」と繰り返すだけだった。

 さらに、伊藤議員は「捜索救助はどこで行うのか、そもそもこうした条文が必要かどうかも疑問だ」と主張。また、「医療支援の内容も全く見えず、活動地域も特定できず、戦闘行為の定義もうかがいしれない」と、疑問だらけの内容に改めて言及。基本計画の国会の事前承認が必要だと改めて主張し、派遣される自衛隊員にとっての納得にもつながると主張した。

 最後に伊藤議員は「小泉内閣の外交姿勢を極めて心配している」とし、靖国神社参拝問題後にぎくしゃくしている中国・韓国との友好関係の修復とアジア諸国との協調体制の必要性を訴えた。
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