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2001/10/17
<狂牛病>厚労省の安全基準のずさんさを追及〜筒井信隆議員
衆議院厚生労働委員会で17日、民主党ネクストキャビネットの農水大臣を務める筒井信隆議員が質問に立ち、厚生労働省による狂牛病対策の問題性について鋭く追及した。

 筒井議員はまず、厚生労働省が狂牛病に関して18日に行おうとしている「安全宣言」は、それに相応しい体制が伴わなければ信用されないと指摘し、安全保証体制に必要な3つの条件──感染経路の遮断、屠畜解体過程の適正化、全頭検査体制の確立──を提示。これに沿って、厚労省の対応の現状を質した。

 千葉県で発見された感染牛の感染経路の解明について坂口厚労相は、まだ特定されていないが、肉骨粉を含む飼料以外のものからの感染は考えられない、とした。筒井議員は、「感染源が特定できない限り経路も遮断できない。なぜいろいろなところで感染拡大の心配はない、とPRしているのか」と追及。坂口厚労相は、食べる肉については大丈夫だが、感染の心配がなくなったとは言えない、と認めた。

また筒井議員は、厚労相が感染源の追跡は農林水産省の問題だと述べたことに対して、「食の安全の問題は厚労省の管轄なのだから、農水省に協力して取り組むべきだ」と批判し、同時に、第三者による究明委員会の設置を求めた。

 さらに、英国で狂牛病が発生して15年もたっているのに、日本への輸入を法的に禁止したのが今年に入ってからというのは遅すぎる、不作為の責任は重いと批判。また、禁止以前の輸入肉を安全だとPRしているが、なぜそう言えるのかと追及した。坂口厚労相は、英国における屠畜解体方法までは調べていないことを認め、リーフレットやホームページに掲載した文章も点検する、と述べた。

 屠畜解体方法をめぐっては、尾嵜食品保健部長が、ワイヤーによって脳・脊髄を破壊する方法が導入できるか実験している段階だと報告。筒井議員は、解体方法の転換以前に処理された牛は安全でないと指摘したが、尾嵜部長は「洗浄しているので、すべて危険だとは言えない」などと述べ、ずさんな安全感覚をさらけ出した。筒井議員は、18日以前に流通している肉は別扱いにすべきだと要求、坂口厚労相は政府が全量買い上げる方向で検討している、と述べた。

 また、30ヶ月令以上の牛の屠殺処分方針をめぐって、それ以下の月令のものはなぜ安全だと言えるのか、と追及。尾嵜食品保健部長は、またしても「(30ヶ月令以下は)感染例はごく少数だ」などと危機感の薄い発言をしたため、筒井議員は「確率によって対応を決めているのか」と一喝、感染例が少数であっても慎重な扱いをすべきだと要請した。

 さらに解体処理過程の問題として、千葉で見つかった感染牛が屠畜場で検査されながらなぜその後肉骨粉にされたのか、と追及。坂口厚労相は、敗血症とのみ診断し狂牛病にも感染していることに気付かなかったためと説明したが、筒井議員は、5月から狂牛病のサーベイランスを実施していたにもかかわらず、神経症状の原因の診断を誤ったのは厚労省の問題だと批判、厚労相も責任を認めた。
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