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2001/10/17
「行政の押しつけのような安全宣言出すな」衆院農水委で狂牛病問題追及〜鮫島宗明、楢崎欣也議員
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衆議院農林水産委員会で17日、狂牛病問題についての質疑が行われ、民主党から鮫島宗明、楢崎欣也の両議員が質問に立ち、消費者の視点で農水省、厚生労働省の対応を質した。
鮫島議員は「さまざまな食材が瞬時に世界をとびまわるWTO体制に日本の食品安全行政・農林水産行政が対応できていないのでは」と指摘。狂牛病問題への後手に回った政府の対応を改めて突いた。鮫島議員は「国産品に対しては割高であっても“安全”という観点で消費者行動がとられていたはず。狂牛病問題はそうした消費者意識を根底から揺るがす大事件だ」とし、島国だからこそ成り立っていた食品の清浄さは覆され、消費者不安はそう簡単に払拭できないと指摘した。
鮫島議員は、さまざまな加工食品の安全性も問題だとし、特にインスタントラーメン等に含まれている牛肉エキスについて質した。
厚生労働省は製造加工業者に指導を行ったとして、自主点検を行い、疑いがあるものに対しては、原材料の変更・販売自粛・商品の回収などを求めていると説明。その上で「それほどの不安はない」とした。
鮫島議員は「消費者にわかるように答弁してほしい」と要請。鮫島議員によれば、肉エキスは2000年の貿易統計によれば毎年200トンずつ狂牛病発生国であるフランスから輸入されている。健康食品の材料になっている血粉・牛骨粉もドイツ・オランダ・イタリアから大量に入っている。
さらに、狂牛病に感染した牛が発見された場合、報告の義務はあるものの、公表義務は食品衛生法上はない。その点について鮫島議員は「厚生労働省が正しい情報を公開しているか、国民の間では不安が広がっている」とし、政治的配慮で情報公開を控えるようなことは絶対にあってはならないと念を押した。
また、鮫島議員は食肉処理されるすべての牛の狂牛病検査が18日から全国一斉に始まることに関連し、「今日まで保管・貯蔵されている肉と18日以降に処理される肉とは区別できるのか、それこそが消費者の一大関心事だ」とした。これに対して武部農水相は「風評被害を沈静化するためにEUをはるかに超える世界一の検査体制を整えた」と胸を張り、「だからといってこれまでの牛肉があぶないわけではない」などと矛盾するような答弁で念を押した。
続けて、鮫島議員は「狂牛病問題が深刻化するもうひとつ要因は感染経路の究明できていない点にある」と言及。農水省・厚生労働省それぞれに解明の自覚があるか質した上で、体制の一本化の必要性を提起した。
鮫島議員は88年から96年まで狂牛病が発生したイギリスから肉骨粉を輸入していた現状を正確に把握していなかった政府の姿勢を追及した。同時に、その輸入状況を基準にして狂牛病に感染する危険度を判定したEU委員会のリスク評価で“上から二番目に危険度が高い国”とされたにもかかわらず、即座に否定した政府の考えを質した。「財務省の貿易統計を見れば明らか」とし、農水省の危機回避への認識の甘さが今回の事態を招いたと批判した。
同時に、それが指導の不徹底さにもつながっており、96年以後、行政指導で肉骨粉を牛に与えてはいけないとしていたにもかかわらず、養鶏・養殖用の肉骨粉が横流しされる形で2000頭以上の牛に与えられていたことがその後の調査でわかっている。この事実に基づき、行政指導の限界を鮫島議員は示した。
「これまでの対応で一番大きな問題は検査体制だった。それが整ったからには安心」といった答弁を重ねる武部農水相に対し、鮫島議員は、検査体制が万全だとは言い切れないのではないかと指摘した。
最後に鮫島議員は「行政側から押し付けるような安全宣言はとらないほしい」とし、検査体制の整備状況、対応の拡充など、政府が打ち出す方針をひとつひとつ示していくことが、本当の意味での安全宣言につながると主張。また、食品安全行政の一体化を重ねて要請し、農水省にはWTO体制に合わせた農林水産業の国際化の必要性を訴えた。
鮫島議員に続き、楢崎欣弥衆議院議員が質問に立った。
楢崎議員は、10月3日に民主党狂牛病問題対策本部が千葉県白井市を訪れて行った実態調査をふまえて質問した。
楢崎議員は「もう一度開業したいと思っている。そのためにも、酪農家が安心して仕事に取組めるよう政府が体制を整えてほしい」と語った感染牛を飼育していた酪農家の訴えを紹介し、同時に、肉骨粉の名称さえ知らなかったとする酪農家や白井市の担当職員の声に、「政府指導の甘さを痛感した」と述べた。
その上で、狂牛病が人に感染することをイギリスが公式発表した96年がポイントだったとし、それに対応する形で農水省がイギリスからの肉骨粉の輸入禁止の通達を出した点に言及。「この通達1本で水際対策が万全だと思ったのか」と質し、リスク管理の甘さが見えるとした。また、肉骨粉を牛に与えないように指示した行政指導についても、「通達は下部まで徹底されずに、県酪連など上部段階で残っているのではないか」と指摘した。さらに、農水省の畜産部長が5月19日付けの日本農業新聞で発表した安全宣言に言及。客観的データに基づかない論理を展開し、「日本での狂牛病発生は100%あり得ない」と言い切っている点を、きびしく批判した。
楢崎議員は、今年4月にEUからあった狂牛病発生への警告を無視した政府の姿勢。さらに、EUが採用している危険度評価は不適切だと異議を唱えた点などを次々と示し、「こうした聞く耳をもたない独善的な姿勢が、結果として水際対策につまづくことになった」と政府の責任をきびしく突いた。
武部農水相は「役所関係者の認識の甘さにはわれわれも驚いている」などと、人ごとのような答弁をした。
楢崎議員はまた、危険部位とされる脊髄が飛び散ることになる現在行われている背割りと呼ばれる解体方法の改善を要請した。
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