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2001/07/12
「報道の公正・中立を強く求める」公示日前日の首相出演番組に抗議
 日本テレビが参議院選挙公示日の前日にあたる11日夕刻に放送し、小泉首相が生出演した「コイズミVS100人の女性」について、民主党の松沢成文選挙対策委員会事務局長が12日午後、国会内で記者会見し、「公職選挙法違反の疑いが濃厚で、放送法にもとづく不偏不党、政治的公平の原則に反する」と述べ、日本テレビの報道姿勢を強く批判した。

 同番組は日本テレビ系列で夕方5時から放送されている報道番組「ニュースプラス1」の中のコーナーで、約1時間半にわたって小泉首相が生出演し、スタジオに集まった女性100人からの質問に答えるというもの。番組の概要は、同局の夜のニュース番組「きょうの出来事」でも約20分間という異例の扱いで紹介され、さらに選挙公示日の12日午前中にも、同局の番組でさらに放送された。

 今回の参議院比例代表選挙は政党への投票を前提とした制度であり、非拘束名簿方式の投票では「小泉(こいずみ・コイズミも同様)の自民党」などの記載は有効投票とされ、政党の党首は候補者に準ずる特別の扱いを公選法上受けている。

 そのため、自民党総裁の小泉首相個人を取り上げ、公示日の前日に特集番組で宣伝することは、公職選挙法129条の「事前運動期間の規定」、同法151条の5でいう「選挙運動のために放送し、または放送させることができない」とする規定や、放送法に定められている「不偏不党」「政治的に公平であること」の規定に違反する疑いが濃いことになる。

 松沢事務局長は番組の内容をすべて見た上で、「小泉首相は依頼されたから出演しただけかもしれないが、首相と政策について討論するのならともかく、趣味や服装、ヘアスタイル、ポケットの中を見せるなど、番組はきわめて個人的な内容だった。小泉首相をアイドル化、偶像化させようという意図すら感じた」と感想を述べ、選挙直前にこのような内容の番組が放送されたことへの危惧を示した。松沢事務局長はさらに、場合によっては党として番組を制作した日本テレビの関係者を国会に呼んで事情を聴いたり、公選法違反で告発することを検討していることを明らかにした。

 通常、報道機関では選挙報道や政治番組では公正・中立を旨として放送しており、例えば11日午後に行われた日本記者クラブによる7党首による討論会(NHKで生中継)でも、各党党首の発言時間が均等になるよう、細心の配慮が行われていた。
 
 民主党では、政策に基づく有権者の厳正な審判という選挙の本来の主旨と、選挙の公正さの確保の観点から、自由、社民両党にも働き掛け、日本テレビに対して抗議することを検討するとともに、他の報道機関に対しても今後の選挙報道における公正な取り扱いを要請した。
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