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2001/07/22
渋谷道玄坂でのトークセッションで若者たちに熱弁ふるう=菅幹事長




 民主党の菅直人幹事長が22日、東京・渋谷道玄坂の歩行者天国で行われた参院選東京選挙区候補者のSさんが開いたトークセッション「ストリート・ファイト!人づくりから始めよう」に参加。炎天下の中、集まった約200人の若者たちからのさまざまな質問に答えた。

 「この格好で来たら誰もわからなかったよ」とブルーのシャツにサングラス姿で笑いながら登場した菅幹事長。 

「民主党に入れても数の論議で押し切られてしまうんじゃないか。民主党に投票したら、どうやって国会で暴れてくれるのか」(21歳男性)「きのうのニュースで政権をとったら沖縄の米軍海兵隊の即時撤退要求するときいたが、安全保障についてどう考えているのか」(22歳女性)など、難問がビシバシとぶつけられたが、そこは論戦では百戦錬磨の菅幹事長。

 「野党でも議員立法や政策提案はできるけれど、政権をとったら直接何でもできる。いくら強打者でも、バッターボックスに立たなければ打てないのと同じ。この選挙で勝って、この次は本当の政権交代だ。みんなごまかされているんだよ。この森さんから小泉さんになったから政権交代なんていうのは大嘘」

「米軍の海兵隊は3つあるが、外国にいるのは沖縄の第3海兵隊だけ。そこでは主に18歳から20歳の新兵のトレーニングをしている。海兵隊が全部いなくなれば、沖縄の基地は面積でも人員でも6〜7割少なくなる。かつては海兵隊が最前線にいて、いざというときには上陸作戦をやったが、今の時代の戦争は違う。必ずしも沖縄にいなければ日本が守れないわけではない」とわかりやすく答えた。

 また、「IT分野で韓国やアメリカに圧倒的に遅れている日本が勝つにはどうすればいいのか」との20歳の男子学生の質問には、S候補は「これからはブロードバンドの時代。日本が2車線道路だとしたら、韓国は片側8車線くらいの違いがある。使いやすい機器と教育と回線の三身一体でやらなければならないのに、日本ではいろんな役所が足の引っ張り合い、なわばり争いをしている。きちんと中身のわかった政治家による政治のリーダーシップが必要」と応じた。

 また、後半では慶應義塾幼稚舎舎長(校長)の金子郁容さんが飛び入りで参加。話題は教育論議に移った。まず金子さんは「イギリスのブレア首相は『イギリスの3大課題は何か、教育・教育・教育』と言った。アメリカのブッシュ大統領でさえ、就任後最初に通した政策は教育改革法案だった。今聖域なき構造改革といわれているが、どういうわけは教育のことについては全然語られない。経済政策も大事だが、もし日本の経済が立ち直っても、教育が今のままだったら、しょうがない」と発言した。

 菅幹事長は、「みんなが参加できる社会を作るためにどういう教育のあり方があるかという議論がイギリスでは進んでいるが、日本でも同じような発想ができれば新しい展開ができるんじゃないか」、Sさんは「富士山から八ヶ岳型に変えたい。それぞれの人の才能を社会が支えて育てられるようにできれば、社会が元気になる。すべての世代の人づくりに政治は焦点を当てるべき」と主張した。

 さらに、金子さんが「行政改革や規制改革の中で見落とされているのが公立学校。10兆円の予算がかかり、60万人が働いている。ただだからサービスが悪くてもしょうがないと思っている人が多いのかも知れないが、この50年間見直されていない官僚機構の改革が不可欠だ」と述べたのに対し、Sさんは「今の公立学校は公立でなく、官立だ。文部行政については規制緩和も地方分権も何もできていない。聖域なき教育改革をやっていきたい」と述べた。

 菅幹事長は「森首相のときに、義務教育の義務とは誰のどんな義務か、と質問したら、親が子どもを学校にやる義務だと答えた。皆さんの中にもそう思っている人が多いでしょう。でも憲法の義務教育の中に、学校という言葉は入っていない。教育を受けさせる義務があると書いているだけ。今の学校では、来ないほうが悪いと言われてしまう。お客が来ないのは客が悪いからだという店に誰が行くのか。民主党の中でもいろんな学校のスタイルを議論しているところ。子ども一人ひとりに教育を受けるクーポン券=バウチャーを渡して、子供や親が自由に学校を選べるシステムの議論もしている」と語った。

 トークセッションを終えて、ステージから降りた菅幹事長のまわりには若者が集まり、「菅さんが厚生大臣の時にやったようなことが、どうして田中真紀子外相にはできないのか。菅さんはどういう方法でやったのか」などと、さらに質問責めにあっていた。
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