ニュース
ニュース
2004/01/29
【衆イラク特】参考人質疑で自衛隊人道支援の限界示される




 衆議院イラク支援特別委員会で29日、自衛隊派遣の国会承認をめぐって参考人質疑が行われた。NPO・日本国際ボランティアセンター(JVC)の熊岡路矢氏ら4名が意見陳述した後、民主党から藤田幸久議員が質疑を行った。

 JVCの熊岡氏は、24年間にわたってイラクを含む海外各国で人道支援活動に取り組んできた立場から発言した。熊岡氏はまず、自衛隊の派遣について、占領軍に協力する形で活動することは憲法違反である、イラクには非戦闘地域と言える所がないことからイラク特措法にも違反している、との基本認識を示した上で、自衛隊による人道支援活動についても問題点を提起。自己完結する組織による支援は地域社会のニーズをつかめず、雇用・経済効果も見込めないこと、軍から距離を置き、中立を保つことによって安全を確保している現地のNGOを危険な立場に立たせることになること、などを指摘した。

 質疑に立った藤田議員は、派遣された自衛隊が予定している浄水・給水活動はすでにNGOなどによって行われており、むしろそこに数千億円規模の予算を直接援助した方が有効なのではないか、と問題提起。熊岡氏は、現在の各国NG0の活動規模は1億円程度であるとし、統治の主体が占領軍からより中立的な機構に移ること、およびイラク警察が力をつけることを前提とすれば、100億円レベルの事業を展開できるとの考えを示した。
記事を印刷する