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2001/09/05
国連反人種差別会議(ダーバン2001)で政治家の役割強調=NGOとのパイプ役果たした民主党議員団
民主党の石毛えい子、北橋健治両衆議院議員と小宮山洋子参議院議員は、8月31日〜9月5日、南アフリカのダーバンで開催された国連「人種主義・人種差別・外国人排斥・関連する不寛容に関する世界会議」(通称ダーバン2001)に、政府代表団顧問議員のメンバーとして参加した。

 この会議では、奴隷制に対する賠償やシオニズム、植民地主義といった課題が、会議末採択予定の「宣言」や「行動計画」にどう盛り込まれるかマスコミの注目をひき、参加国は166か国、参加者数は政府とNGOを合わせ1万人以上にものぼった。日本の政府代表団は10名、NGOは100名近くだった。

 日本には人種差別はないと誤解する人々も現地では少なくなかったが、在日韓国・朝鮮人や中国帰国者、アイヌ、沖縄人に対する構造的差別、また、現職国会議員による「日本単一民族」発言や、差別を扇動する言動などの大きな問題が存在していることや、また、日本の被差別部落出身者に対する差別も国連の人種差別撤廃条約内の「世系」に対する差別ということをさまざまな機会を通じて訴えた。

 石毛・北橋両議員はまず、南アフリカ到着翌日に、内外のマスコミを対象にNGOと記者会見を開き、日本の差別を訴え、また、政府関係者しか傍聴できない会議に出席、重要な情報をNGOに流した。その中でも、「行動計画」(案)内で、職業と世系にもとづく差別に関する立法・行政措置を記載した唯一の73項をある国が削除したいとした要望に関しては、石毛議員が情報をすぐにNGOに伝え、その結果、部落解放同盟などのデモ、ロビーイングや記者会見などのアクションが続いた。

 また、世界会議と併行して行われたIPU(国際議会人連合)会議では、石毛議員が日本からただひとり参加、差別禁止法立法を最低基準とすべきこと、政治家として差別を扇動してはいけないことなどを行動計画へ盛り込むよう、また73項の削除反対も提案。日本政府代表の丸谷外務政務次官の発表に対するNGO宣言にも署名した。

 また小宮山洋子参議院議員は、議員になる以前から活動している政策提言のための全国ネットワーク「北京JAC」の有志グループとして、NGOフォーラムで、ワークショップを2日にわたって開いた。テーマは「人間の安全保障とジェンダー」。国の安全保障とは違った視点で、ひとりひとりが安全な生活ができ、尊厳が守られることに焦点をあてたもので、アフリカの各国やカナダ、ヨーロッパからのNGOや国連機関の代表が参加し、人身売買の犠牲者やセックス産業で働く女性たち、人種と性の複合差別を受けている人などを救う方法などを話し合った。

 小宮山議員も、日本が外交の柱のひとつにしようとしている人間の安全保障の基金を、NGOやジェンダーの視点を取り入れたものにしていきたいというスピーチを行い、12月に横浜で開く「第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」で一緒にワークショップをすることを提案。集まった各国のNGOで、ネットワークを作り、情報交換していくことを約束し、実りの多い会合となった。

 会議日程以外にも南アフリカの人権委員会委員長からのヒアリングをして情報を収集と大活躍。いろんな国籍や人種の人たちとふれあいながら、多様性の寛容やNGOとの連携の大切さをしみじみ実感した民主党議員団は、日本での行動計画フォローアップなど、今後の課題に対する決意を新たに帰国した。

写真上:日本から参加したNGOと話し合う石毛、北橋議員
写真下:ワークショップで講演した小宮山議員(中央の白いスーツ)
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