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2001/09/20
「テロ関連の対米支援は時限立法で。武力行使の国連決議も求めるべき」岡田政調会長が会見
民主党の岡田克也政策調査会長が20日、定例記者会見で、テロ関連の対米支援は時限立法で対処すべきとの考えを示した。

 岡田政調会長は、「日本がどこまで国際協力、支援活動をしていくべきかは、かなりしっかりとした議論が必要。今回は時間がないのであれば、(協力のための)法律は一般法ではなく、今回の事件に限定するか、時限法にすべき」との見解を示し、党内にもその点では異論はないと説明した。

 また、今回のテロに対する米国の報復措置の対象が国ではなく、ひとつのグループであるため、「グループをかくまったり、属している国を攻撃して一般住民を巻き込むことになれば、行き過ぎだ」と指摘。「犯人特定の問題などをクリアするためには、日本自身が判断するだけの材料を持っていない以上、国連の安保理で決議されることが客観性を持たせるために重要である」と指摘した。

 さらに、岡田政調会長は「個別的もしくは集団的自衛権の行使をしたとしても、国際紛争は基本的には国連の枠組みで解決していくべき。国連が世界の平和を維持するための重要な枠組みであるという認識に立てば、もう1歩踏み込んだ国連決議を求めるべき」と主張。今回の事件に特定し、武力行使を認める決議を国連が認めることが条件だとし、「アメリカは決議を求めないかも知れないが、それを説得するのが同盟国である日本の役割だ。それをできる立場にいるはずだ」と主張した。

 また、日本の対米支援について「周辺事態法の拡大解釈で対応すべき」との意見があることについて、岡田政調会長は「非常に問題がある」と懸念を表明。その問題点として、(1)「周辺地域」とは地理的概念ではないと説明されているが、国会答弁ではインド洋や中東は含まれないと言っている。そこまで自衛隊が出動することは立法趣旨を全く損ねる(2)「日本の平和と安全に重大な影響を及ぼす事態」という発動要件は、今回のケースには適用することは論理的には難しい−−の2点を指摘し、周辺事態法を今回の事件に適用することには反対だとした。ただし、「憲法上制約されている武力行使との線引きについては、周辺事態法の考え方が準用できる」と述べた。

 また、与党3党の選挙制度改革協議会が一部大都市部での中選挙区導入の方針を打ち出したことについて、岡田政調会長は「党利党略で選挙制度をいじる愚かさを懸念している。民主主義の基盤を崩す行為だ。自分たちの都合のいいように選挙制度を変えることは、民主主義の信頼感を損ねる」と強く批判した。

 その上で、この問題に対しては、民主党は従来あった政治改革推進調査会を「政治改革推進本部」に格上げして、党をあげて取り組み、国民的議論を起こしていく方針を示した。

 さらに、小泉首相が自ら「中選挙区制度復活はあり得ない」としながらも、この問題を与党に丸投げして、自ら発言していないことを岡田政調会長は問題視。「小泉さん自身にも議会制民主主義とその基盤をなす選挙制度をどう考えているのか、是非一度問うてみたい」と述べた。
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