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2002/07/02
【参院厚労委】山本議員、首相の「三方一両損」論を改めて批判


 参議院厚生労働委員会で2日、健保法改正案をめぐる質疑が小泉首相出席のもとで行われ、民主党の山本孝史議員が質問に立った。

 山本議員はまず、小泉首相がくり返し口にする「三方一両損」の真偽について質問。診療報酬を引き下げをめぐり、「医療機関も損をすると国民の多くは認識しているが、全体の収入として減るか」と小泉首相に質した。それに対して小泉首相は「今まで増えていたものが減る」などとして、単に増え幅が減るにすぎないことを暗に認めた。山本議員は医療機関の手取り収入減にはつながらない実態を指摘し、「そこを説明しないまま、医療機関の収入も減るとして三方一両損とするのは間違い。混乱を生じる」と批判した。

 続いて山本議員は、診療報酬改定の影響で、6カ月を超える長期入院患者が病院を出ざるを得なくなり、透析患者が透析時間の短縮を迫られるなどしている現状について指摘。そもそも診療報酬を動かして政治誘導することが正しいやり方なのか、と問題提起した。

 小泉首相は「私より事務方の方がくわしい。事務方よろしく」などとして答弁を避け、山本議員が「事務方が応える話ではない。ご自身がとった政策の結果として医療現場がどうなっているかの総理自身の認識は如何か」と数回に渡って質したが、首相はあいまいな答弁に終始した。山本議員はそうした首相に対して「医療費がかかる。それを誰かがどこかで負担しなければならない。その認識のもと、小泉首相は診療報酬体系をマイナス改定した。その結果として現場がどうなっているかを把握していない限り、今回の改定が正しかったかどうか判断できないのではないか」と疑問を呈した。

 また、山本議員が医療保険制度改革によってもたらされる共済組合の負担増、政管健保・国保での国民の負担増の総額を質したが、小泉首相は本筋からそれた答弁をくり返すだけで何ら答えず、坂口厚労相も明確な数値を把握していないというずさんな状況だった。

 さらに山本議員は、医療制度改革が遅れた原因について質問。小泉首相は「医療保険制度は調べれば調べるほど関係者が多く、複雑」などと、まるで傍観者のような答弁に終始した。

 山本議員は、平成9年に負担増はするが抜本改革を行うと表明し、その後も改革案が出尽くし、小泉首相自らも「あとは政治主導で大胆な決断をする必要がある」とまで言いながら、結局また負担増だけが決定されようとしている現状を厳しく糾弾。「小泉首相であれば抜本改革ができるのではないかと思っていたが、失望した」として、質問を締めくくった。
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