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2002/07/03
【参院本会議】藁科議員、サミットでの首相のイニシアティブ欠如を指摘
 小泉首相によるカナナスキス・サミット報告が3日、参議院本会議で行われ、「実り多かった」とする首相の説明を受けて、民主党・新緑風会の藁科満治議員が質問に立った。

 藁科議員は、画期的なサミットと位置づけられると分析。特に「世界経済の活性化への取組み」「テロ防止のための国際的強調行動」「貧困・紛争・疾病に悩むアフリカ支援への合意」「ロシアのG8加盟をうけての、冷戦終結後の新たな国政的枠組みづくりの必要性」の4点の重要性を指摘。「この4点についてある程度は目的を達成できたが、不十分な点もあり、事実認識のズレもある」とし、またイニシアティブを発揮するという面で、日本は影が薄かったのではないかとの見方を示した。

 そうした視点に立って藁科議員は小泉首相に対し、まず「世界経済の活性化に関する日本の役割と実態の乖離」について質問。基本的に各国首脳の見通しはあまりにも楽観的過ぎるとした上で、日米同時株安の原因となったワールドコム社の不正経理問題に対し、具体的対処法も何ら提示しなかったサミットの不備を指摘した。また、米国同様、経済と雇用情勢に対して国民が先行き不安を抱く状況でありながら、小泉首相が構造改革の進展状況を大いに宣伝し、「世界経済を導く改革にしたい」などとサミット席上で抱負を述べたのに対し、現実との格差や国民意識との大きなズレがあると批判した。

 小泉首相は「世界経済の基礎的条件は基本的には健全であるが、同時に最近の市場動向等には注意していくという点でG8は一致しており、楽観論だけが出てきたという指摘はあたらない」などと弁解した。

 また、藁科議員はアフリカ支援問題について質問。サミットではアフリカが独自に策定した「アフリカ開発のための新パートナーシップ」に応えるとしているが、具体的な援助の実施は各国に任された。藁科議員は日本の具体的な道筋の提示を小泉首相に求めた。

 小泉首相は「来年後半に開催する予定の第3回アフリカ開発会議にむけ、人間中心の開発を重視しつつ具体的行動をとる」とし、教育の機会・質・管理の向上を重点分野として、学校施設の建設とともに、教員派遣や学校運営のソフト面の支援強化を進めるとした。
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