ニュース
ニュース
2004/03/03
【衆院予算委】年金資金のずさんな運用実態を追及
 衆議院予算委員会の3日の一般質疑で、民主党の海江田万里、池田元久、生方幸夫、小林憲司の各議員が質問に立った。

 海江田議員は、年金資金で建設した大規模保養施設「グリーンピア」の巨額損失問題に関連し、財団法人厚生年金事業振興団の前身団体がまとめた『厚生年金保険制度回顧録』にある「資金運用と福利施設」に関する寄稿について同振興団理事長の吉原参考人に質問。「厚生年金基金とか財団とかをつくれば厚生省の連中がOBになったときの勤め先に困らない」などとする記載をめぐって、「これが振興団の認識か」と追及。吉原参考人は「信じられない事実。耳を疑う」などとするに留まった。

 海江田議員は、年金資金運用の失敗の責任をどう取るかと質したが、年金資金運用基金理事長の近藤参考人はわずかに「賞与を2割カットした」などと答えたにすぎなかった。海江田議員は「オールクリアにすべきだ」と指摘し、新しく生まれ変わる厚生年金基金に関しては、天下りを禁止すべきだと坂口厚労相に求めた。

 池田議員は年金資金のムダ遣いを追及。年金保険料等から事務費等へ充てた額の累計を質した上で、「厚生年金法と国民年金保険法では年金の事務費は国庫が負担することになっているが、現実には特例措置分を除いて毎年、多額の保険料が事務費として使われている」と指摘し、年金保険料を事務費に使うことができる根拠を質した。社会保険庁は「厚生年金保険法79条に政府は被保険者等の福祉を増進するため、必要な施設をすることができるという規定がある。この施設は土地や建物だけでなく、法令用語としては人的要素も加味した事業活動も含まれる」などと答弁。池田議員は「そんな解釈があるか」と厳しく批判。年金資金の運用ありきの実態を指摘した。

 生方議員は「財投の資金は心配ない」と発言した谷垣財務相に「道路公団が民営化される時に債務超過になった場合、債権放棄するのか、公的資金導入で埋めるのか」と質し、「財投は絶対大丈夫だと言い切れない。今の段階から方針を立てておくべきだ」と指摘。
 
 また、再上場された新生銀行について「リップルウッドとの譲渡交渉の際、なぜ瑕疵担保条項を条件に付けたのか。他の企業候補にも同様に瑕疵担保条項の提示をしたのか」と森昭治・元金融再生委員会事務局長に質した。また、ソフトバンクが瑕疵担保条項がはずれた途端にあおぞら銀行の株を売却し大きな利益を得た件で「多額の公的資金が投入された中で国民の納得が得られない」と指摘した。

 小林憲司議員も新生銀行問題について質問。サイパンの裁判所での新生銀行に対する巨額賠償訴訟の訴状送達の遅滞工作疑惑について竹中経財・金融相を追及し、「訴状は本日ようやく新生銀行に届いたが、裁判を遅らせようとして訴訟の情報が意図的に隠蔽されていたり、竹中大臣に報告されていないとしたら、問題だ」と迫った。
記事を印刷する