ニュース
ニュース
2004/03/09
【参院予算委】イラク、年金、鳥インフルエンザで政府を追及


 参議院予算委員会で9日、小泉首相出席のもとで基本的質疑が行われ、民主党・新緑風会から山本孝史、郡司彰、福山哲郎の各議員が質問に立った。

 山本議員はイラク復興支援について「自衛隊では限定的支援しかできないし、国連が関与しないと人道支援はできない。自衛隊派遣が目的で、何をするかは二の次だったのではないか」と迫るとともに、「様々な波乱要因があり、情報をしっかり把握して自衛隊員に危害が及ばぬよう」求めた。

 また、「中国市場は日本にとって有望であり、北朝鮮問題でも重要な役割を果たしているが、日中首脳外交は中断したままだ。靖国参拝などで首相は国益よりも私情を優先しているのではないか」と首相の姿勢を質した。

 年金改革について、「2017年に年金保険料が42兆円規模になり、2年に1回消費税を1%上げるのと同じことになる」と指摘して「企業が負担増を嫌って社員をパートに置き換えるなど雇用形態が変化して年金空洞化を招いたり、税収不足となって財政再建の足を引っ張るのではないか」と迫った。関連して「自分の任期中は上げないということで首相は消費税議論を封印しているのではないか。無責任だ」と批判した。

 山本議員は最後に、年間3万人を超える自殺防止へ「国家的プロジェクトとして政府全体で取り組むべきだ」と要請した。

 郡司議員は自衛隊のイラク派遣の予算をめぐり、平成15年度は予備費として268億円余が拠出されたことを石破防衛庁長官に確認した上で、平成16年度予算書にはどこに記載があるか質問。石破長官は「イラクという項を起こしていない。予算審議に資するために一般会計歳出予算各目明細書を添付した」などと答弁。郡司議員は、「イラク関連予算は重要な議題であり、項を起こして国民の議論に供すべき。(現状では)説明責任を果たすことにならない」と断じた。
 
 郡司議員はまた、特別会計予算の資金、積立金について質し、予算書に示すものとそうでないものが不統一である上、決算委員会に出される決算書等にしか示されないもの等がある点を指摘。谷垣財務相自身が「全貌を捉えるのは容易でない」などと答弁するような特別会計予算について、国民にわかりやすい形に改めるよう強く求め、それぞれの増減表・残高表の提示を要請した。谷垣財務相は前向きに検討することを表明した。

 福山議員は、京都で感染が見つかった鳥インフルエンザ対策について質問。まず、防疫対策を完了するメドを「3月16日」と確認した上で、それから21日間にわたる移動禁止期間中の卵・鶏糞の処理について、「防疫体制を作りながら、移動禁止区域外の保管場所や廃棄物焼却施設に運ぶことも検討すべきだ。農水省、環境省、京都府で連携して検討を」と提案。亀井農水相は「対応する」と答えた。

 また福山議員は、政府が移動禁止区域内の養鶏農家に対する補償のスキーム・実施時期を明確にしないことを批判し、「山口や大分では『畜産事業振興』の名目で補償が行われたが、もはや危機管理の問題だ。別スキームでただちに打ち出してほしい」と要求。平成15年度予算の予備費の残り(1302億円)からただちに10億円程度を養鶏農家への補償に充てるよう首相の政治決断を迫った。しかし小泉首相は、「必要な額は出す」などとあいまいに答えるにとどまった。
記事を印刷する