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2004/03/16
【参院予算委】年金改革、デフレ対策で政府の誤りを批判




 参議院予算委員会で16日、経済・金融、年金・社会保障問題の集中審議が行われ、民主党・新緑風会から内藤正光、峰崎直樹の両議員が質問に立った。
 
 内藤議員は、国民年金の空洞化をめぐって質問した。まず、基礎年金拠出金の負担割合算定においてあらかじめ国民年金未納・未加入者が除外され、その分(1.5兆円)を厚生年金、各種共済年金の加入者が穴埋めする構造になっていることを指摘。「まじめに保険料を払っている人へのつけ回しだ」と追及した。坂口厚労相は「拠出金の調整は積立金で行われる」「納めていない人は年金がもらえない(から自業自得だ)」などと答弁したが、内藤議員は国民年金が積み立て方式でなく完全賦課方式(各年度毎に保険料収入で年金給付を賄う)であることを指摘、制度の空洞化の原因となっている不公平性への対応がなされていないことを批判した。
 
 さらに内藤議員は、4割の保険料未納者のうち、支払能力のある人への対応として、確定申告で社会保険料支払証明書の添付を求めるよう提案。谷垣財務相、坂口厚労相は「いい案だ」と応じ、小泉首相も「真剣に検討する」と答えた。また、低所得未納者を生む背景として内藤議員は、所得に関係なく一律1万3300円を徴収する定額負担制の逆進性を指摘。矛盾をはらんだ国民年金の制度設計そのものを見直すよう求めた。しかし首相は、「1年や2年でできることではない」などと消極的な姿勢に終始した。
 
 峰崎議員は冒頭、「デフレは終わっていないのではないか」と指摘。2002年に政府が示した「改革と展望」において04年までのデフレ脱却を宣言しながら、1年ずつ先送りしている点について竹中金融担当相に「政策の失敗ではないか」と質した。竹中大臣は「デフレの克服はむずかしい問題と認識して取り組んでいる」などとした上で、去年と今年の「改革と展望」では価格指数について示し方を変え、消費者物価、企業物価、GDPデフレーター等で総合的に判断したなどと答弁した。峰崎議員はデフレ脱却の判断はGDPデフレーターの動きを基本に行うべきとの考えを示した。

 また峰崎議員は、新規採用の減少や失業等によるフリーター増加など労働人口減が進む現状では、順調な経済発展は望めないとの見方を示し、抜本改革の必要性を示した。さらに、交付税と財源改革債の削減が地方自治体の財政を直撃している点を指摘し、中央から地方への財源移譲とは名ばかりの三位一体改革の現実を批判した。
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