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2004/03/18
【参院予算委】公聴会で財政、雇用、年金改革の方向性示す



上から、朝日参院議員、久保田連合副事務局長、山根参院議員



駒村東洋大助教授、高橋参院議員
 参院予算委員会は18日、公聴会を開いた。午前中は財政・税制、景気・経済について東大大学院経済学研究科教授の井堀利宏氏とエコノミストの紺谷典子氏から意見を聴取したあと、民主党・新緑風会の朝日俊弘議員が質問に立った。

 朝日議員は、地方交付税制度の抜本的スリム化を説く井堀氏に対して「交付税に依存しない形での地方の財源確保は方向性として正しいが、財源確保は何に求めていくのか、地域間格差をどうするか」などと質した。また、「改革のたびに国民生活は悪化。名ばかりの年金改革、財政改革であって、単なる負担増、単なる社会保障の削減にすぎない。国民生活の健全化ではなく、財政の健全化、すなわちお金の話ばかりを優先するのが小泉改革」と喝破する紺谷氏には「雇用形態が多様化し、フリーターが400万人といわれているが、この人たちの社会保障をどうするか」と質した。

 午後の公聴会では、まず外交・防衛、雇用をテーマに拓殖大学教授の森本敏氏、連合副事務局長の久保田泰雄氏が意見陳述を行った。久保田氏は「雇用改善に今こそ全力をあげるべき」と提起。景気好転の動きを国民生活と雇用の改善に直結させ、地域社会を活性化させるとともに、好循環へつなげていく経済・財政運営が求められているとした。また、失業者対策を引き続き講じるよう指摘。雇用関係予算案をめぐっては細切れの予算措置で効果が期待できないとして統一的な政策の必要性を指摘した。

 質問に立った民主党・新緑風会の山根隆治議員は、イラク攻撃に関連して、米国に追随した印象が強い日本政府の対応について「国家戦略が希薄」と指弾するとともに、森本氏に政府が取るべき方向性を質した。森本氏は「外交戦略がないとは思わないが、その後のあり方として石油精製プロジェクトにコミットし、日本が経済的利益を享受する方向等を明確に探るべき」との考えを示した。久保田氏には雇用対策のあり方を質し、縦割り行政によるバラバラの対応ではなく統一的な雇用対策が必要であることを改めて確認した。
 
 社会保障問題では、年金改革を中心に東洋大学助教授の駒村康平氏、神奈川県立保健福祉大学教授の山崎泰彦氏から意見を聴取。駒村氏は、政府の年金改革案の問題点として、「抜本改革と呼ぶには基礎年金のあり方など体系的部分の議論が不足している」と指摘し、スウェーデン方式を参考に所得比例年金と最低保障年金の組み合わせ方などを広く検討すべきだと提起した。
 
 質疑に立った民主党・新緑風会の高橋千秋議員は、少子化が進む中で持続可能な年金制度を確立するには、国民が“世代間の支え合い”という意識を持つことが必要だと主張。年金を保険でなく税として位置づけるべきではないか、とした。これに対して山崎氏も、「名称を変えることは充分ありうる」と応じた。
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