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2004/04/12
イラク人質事件をめぐり全議員政策懇談会開く


 イラクにおける日本人人質事件について協議する民主党の全議員政策懇談会が12日党本部で開かれた。
 
 冒頭挨拶で菅代表は「予断を許さない情勢。9日に家族と会い、切実な直接の声を聞き、それを総理に伝える約束をし、その後の厚生労働委員会の質疑で家族としての意見を伝えた。私は、脅されたからといって大きな方針を変えることはとるべき道ではないと思う。われわれは大義なきイラク戦争そのものに反対し、イラク特措法による非戦闘地域というフィクションに基づく自衛隊派遣に反対してきた。サマワを含めた最近の情勢は非戦闘地域とは言えない状況だ。私の質問に総理は得意のすり替えで説明責任を逃げる答弁だ。安倍自民党幹事長は自衛隊は撤退しないと言ったから解放すると相手が決めたんだと、何も解決されていないうちからそういう発言をしている。こういう人たちに日本の将来を任せられない。わが国、われわれ自身にとって初めての厳しい試練のときだ。われわれは野党ではあるが、現実に事柄が推移している中での議論であることをお互いに肝に銘じた上で真摯に議論して欲しい」と力説した。

 岡田幹事長から事件発生からの経過報告、枝野政調からヨルダンに派遣した藤田国際局長の現地報告を含めた情勢報告、野田国対委員長から国会運営報告などがなされた後、延べ22人の議員から次のような質問、意見が出された。

・日本ばかりでなく、米・独・英・韓なども人質事件が起きている。個々の内容について外務省から報告がない。外国の例示を調査せよ。

・党としてこうした会議をもっと早く開くべきだった。全議員禁足であらゆる事態に対応することが当然。

・有志とともに衆院議長に対し緊急会議を開くよう要請した。政府からでなく国会としてこの事件について議論、対応策、国会決議を出すべきだ。菅代表は衆院議長とあって忌憚のない意見交換をして欲しい。

・「与野党を越えて協力」としているが、不適切だ。政府のやること全てに協力はできない。政権を目指すのなら、政府と違う選択を持つべきだ。

・国会の場で特措法を決め、派遣を決めたのだから、国会議員から人質の身代わりを出す選択もある。

・総理は家族に一目も会っていないし声も聞いていない。家族は政府に対して大きな不満を持っている。民主党幹部もしっかり対応せよ。

・民主党はそもそも反対したのだから、撤退を要求してもテロに屈したことにならない。サマワなどのイラク情勢の質的抜本的変化が起きている。戦闘地域であることは明らか。国連を中心にした治安維持の協力を訴えよ。

・NGや宗教家のネットワークと連携せよ。

・イラクは泥沼化、第二のベトナム化している。インチキ特措法に照らしても自衛隊は人道復興支援などできない状況。自衛隊の家族も話が違うと思っている。

・総理は国民に対する説明をしていない。政府は地元・米軍に丸投げ、危機管理は杜撰で首相の責任の自覚がない。

 これらを受けて菅代表は「私はその都度決断しながら進めてきた。誤ったメッセージが伝わることがないよう十分考えながら、一歩一歩着実に対応していきたい。しっかりした判断で決断し、その決断の責任は私自身にある」と締めくくった。
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