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2004/04/14
【党首討論】菅代表、米包囲作戦に自制求めるよう要求


 今通常国会で2回目の党首討論が14日に行われ、民主党の菅直人代表が現在のイラク情勢と自衛隊派遣の根拠、年金制度一元化に関する無責任発言などについて、小泉首相を厳しく追及した。

 党首討論の主なやりとりは、次の通り。
 
■イラク戦争の無条件支持は間違い

菅 イラク戦争を始めてから1年。米国の当初の見通しがまったく違っていたのは明らかだ。今のイラクの状況は、米軍対イラク国民という構図になるギリギリのところだ。また、いまだにイラクに大量破壊兵器があると考えているのは、地球上でブッシュ大統領と小泉首相の2人だけではないか。ブッシュ米大統領が国際社会の支持も無視して進めたイラク戦争を無条件に支持したのは間違っていたのではないか。

小泉 判断は間違っていない。復興支援も失敗したとは思っていない。厳しい状況はあるが、イラクの復興に責任を果たしていかねばならない。

菅 復興支援の問題ではない。ブッシュ大統領の一国主義的戦争が失敗し、それを支持した政府の判断も誤りだったということだ。問題をすりかえるな。

■ファルージャ包囲作戦に自制求めよ

菅 米軍のファルージャ包囲作戦で多くの一般国民を含む1000人もの人々が殺されている。これに抗議してイラク統治評議会の議員を辞任する人も出ている。しかも、この作戦は新たなテロを誘発している。3人の日本人の人質がファルージャ近辺で拘束されていると見られることからも、政府として米軍の自制を求めるべきではないか。

小泉 ファルージャの状況は厳しいものがある。(米軍の包囲作戦が)イラク国民の反発を買っている向きもある。イラクの治安状況改善に何が必要か。われわれもいろんな方面に働きかけていく。

菅 ある期間、自制を求めるべきだと言っている。

小泉 単純に自制を求めることではない。人質問題など微妙な状況がからんでいる。

■サマワはまだ「非戦闘地域」なのか

菅 首相は先の党首討論でも、サマワ周辺地域が非戦闘地域だという前提が崩れた場合は自衛隊を撤退させると言った。現に自衛隊は宿営地の外で活動できない状況に追い込まれている。撤退を含めて検討すべき時期にきている。

小泉 そうは思っていない。人質が誘拐されている現状で(撤退と)言ったら、犯行グループの思うつぼになる。

菅 法で決めたことでも、やらないと言うのか。

■なぜ人質家族と会わないのか

菅 3人の人質の家族たちは精神的にも厳しい状況に置かれている。なぜ会わないのか。

小泉 家族のつらい立場は察している。救出のために何が効果的か。会うことがいい結果に結びつくかどうか。そういう意味で会う状況にはないと判断している。

菅 会うこと自体を拒否するのは分からない。家族の生の声を聞くのはつらい、避けたい、ということか。さらに会うよう要請する。

■年金一元化か、14年連続保険料引き上げ法案か

菅 首相は「一元化が望ましい」「民主党が対案を出したら1年程度で話し合いたい」と発言していた。ところが9日の厚生労働委員会では「一元化は2、30年先のこと」などと発言が変わっている。一元化は本当にやる気があるのか。

小泉 曲解している。将来一元化できれば望ましい、と言った。一元化について共通の認識を持つまでに1、2年、その後、新制度で給付を受けるまでには2、30年かかる。

菅 負担の部分はどうなのか。現在の法案に基づいて14年間毎年保険料を引き上げた後に一元化するということか。

小泉 今の政府の法案を通した後でも一元化の議論はできる。

菅 一元化が望ましいと自ら言ったのだから、政府案を3、4年のつなぎ法案に変えるならまだ分かる。14年間連続値上げ法案は撤回すべきだ。(昨年の総選挙時の)小泉改革宣言には「2004年に年金制度の抜本改革を実施」と書いてあるではないか。
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