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2003/02/03
【衆院本会議】伊藤(英)議員、小泉改革の誤りと挫折を指弾


 衆議院本会議で3日、首相の施政方針演説などに対する質疑が行われ、民主党から岡田克也幹事長に続いて伊藤英成副代表(『次の内閣』外務ネクスト大臣)が代表質問に立った。

 伊藤議員は冒頭、1月23日の衆院予算委員会における菅直人代表の追及に対する小泉首相の答弁について追及。「8月15日に靖国神社へ参拝すること、当初予定通りペイオフ解禁を実施すること、国債発行を30兆円以下に抑えること、という国民への3つの公約について『この程度の約束を守れなかったのは大したことではない』と答弁したのは、呆れるほど無責任な発言」と指摘し、首相の政治責任を問題にした。しかし首相は、靖国神社参拝については「真意は多くの国民に理解を得ている」、ペイオフ解禁延期については「不良債権処理の加速化という構造改革強化のため」、国債30兆円枠突破については「残念だが、その精神は財政規律を守るために大切な役割を果たしている」などと答え、「首相の公約」の重さについての言葉はまったく聞かれなかった。

 伊藤議員は次に、特殊法人改革について質問。小泉首相の就任以来、民営化された特殊法人はまだ一つもないだけでなく、郵貯・簡保改革、特殊法人等への天下りなどあらゆる問題が滞っていることを指摘し、見解を求めた。首相は、「改革は着実に成果を上げている」などと強弁したものの、独立行政法人において特殊法人の時よりも常勤役員が2割5分減ったといったことを挙げることしかできなかった。

 また、公務員制度改革をめぐっては、労働基本権が制約されている日本の現行制度の改善などを求めたILO(国際労働機関)の勧告に対する対応を質問。ところが首相は、ILO側が人事院勧告などの日本の制度に対する理解が不十分だとして、今国会提出予定の関連法案でも勧告内容を受け入れるつもりのないことを明らかにした。

 医療制度改革については、国民への負担増だけを先行させ、抜本改革を先送りしたことを批判。今年3月までに改革項目の基本方針を打ち出すという約束を実行できるのか、と質した。首相は、昨年12月の厚労省案を叩き台にして今年度中に基本方針をつくる、と事実上の先延ばしを表明した。

 年金改革についても、国民が安心できる制度をつくるための次期改革ビジョンを質したが、首相は「どのような給付と負担のあり方いいのか、国民的議論を進める」などと答えたにすぎなかった。

 また伊藤議員は、治安対策についても質問。首相が施政方針演説において「『世界一安全な国』の復活を目指す」と宣言したことを取り上げ、その実現のための具体的な対策を質した。首相はここでも具体策をほとんど挙げられず、外国人犯罪の多発に対応して入管・税関・海上保安などを強化するといった方針を場当たり的に述べるにとどまった。

 有事法制をめぐって伊藤議員は、国民保護法制やテロ・武装工作船等への対策を同時並行で進めるべきだと提起。とりわけ、表現の自由の保障が軽視されていることを批判した。しかし首相は、憲法に保障された国民の権利・自由を尊重する、などと一般論を述べることしかできなかった。

 北朝鮮問題の関連で伊藤議員は、北朝鮮から脱出してくる日本人妻、元在日朝鮮人、難民の人々境遇は重要な人道問題だ、と指摘。具体的な支援策を質した。首相は、人道上の観点から対応すると一言述べたにすぎなかった。

 伊藤議員は最後に、イラク攻撃問題について質問。米国などが、武力行使を容認する新たな国連決議なしにイラク攻撃に踏み切れば、国連自体の存在意義が問われる事態になると指摘して、首相の見解を求めた。しかし首相は、米国による単独攻撃への態度、およびその場合の政府の対応についてはあくまで明確にせず、ひたすら「イラクが国連決議(1441号)を誠実に履行することが問題だ」と繰り返すという、米国への追随ぶりだった。

 伊藤議員は、「内憂外患の日本をこれ以上小泉総理に任せれば、日本株式会社は倒産してしまう」と危機意識をもって訴え、質問を終えた。
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