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2004/05/20
民主、自民、公明3党、緊急事態基本法についての覚書に調印
 民主、自民、公明3党の幹事長は20日夕、緊急事態基本法についての覚書に調印し、昨年より民主党が強く制定を求めてきた同法の骨子に関する合意を確認した。

 合意された骨子は、1.緊急事態の定義、2.緊急事態における基本的人権の尊重、3.緊急事態における国、地方公共団体の責務及び国民の役割、4.緊急事態における国会の関与、5.緊急事態における内閣総理大臣の権限、6.緊急事態における体制の整備、の6項目からなる。中でも、「大規模な自然災害等」を含む形での緊急事態の定義、「危機管理庁」を想定した「組織」の整備を盛り込んだ体制整備など、ほとんどの項目で民主党の主張が反映された内容になっている。

 今後は、「この骨子をもとに、3党による協議会で今年一杯くらいかけて基本法の中身を詰め、来年の通常国会での成立をめざす」(前原誠司『次の内閣』ネクスト外相)ことになる。
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2004年5月20日

緊急事態基本法(仮称)についての覚書

自由民主党・民主党・公明党の各党は、緊急事態基本法(仮称)の制定の必要性に鑑み、ここにその骨子について了解し、次期通常国会で成立を図ることを合意する。

自由民主党幹事長

民主党幹事長

公明党幹事長

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緊急事態基本法(骨子)

平成16年5月20日

1.緊急事態の定義
 対象とする事態(「国家緊急事態」)は、我が国に対する外部からの武力攻撃、テロリストによる大規模な攻撃、大規模な自然災害等の国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態とする。

2.緊急事態における基本的人権の尊重
 緊急事態においても、日本国憲法の保障する基本的人権は最大限尊重されなければならず、これを制約することが余儀なくされるに至った場合にあっても、その対処しようとする事態に応じた必要最小限のものであり、公正かつ適正な手続の下に行われなければならない。

3.緊急事態における国、地方公共団体の責務及び国民の役割
 国は、我が国の平和及び安全の確保並びに国民の生命、身体及び財産の保護に万全の措置が講じられるようにする責務を有する。
地方公共団体は、他の地方公共団体その他の機関と相互に協力し、緊急事態に対処する責務を有する。
緊急事態における国民の役割を明確にすることの重要性に鑑み、これを明示する。

4.緊急事態における国会の関与
緊急事態への対処に当っては、開始と終了において、適切な国会の関与を確保する。その際、国会の関与の範囲の明確化に十分留意する。緊急事態に対処するために行政各部が実施する措置は、法律の規定に基づかなければならない。

5.緊急事態における内閣総理大臣の権限
 緊急事態における迅速かつ的確な内閣総理大臣の意思決定を確保するため、閣議との関係を検討する。

6.緊急事態における体制の整備
 政府が緊急事態に迅速かつ的確に対処するために、内閣総理大臣(内閣)の判断を適切かつ機動的に補佐する仕組みを設けるとともに、対処・予防措置の効果的な実施体制を担保する組織を整える。
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