ニュース
ニュース
2004/05/21
【衆院法務委】人権に配慮した難民認定制度求める


 衆議院法務委員会で21日、政府提出の出入国管理・難民認定法改正案と民主党提出の難民等保護法案の審議が行われた。民主党の小宮山洋子議員が政府案について、山内おさむ議員が民主党案について、それぞれ質問し、民主党案提出者の中村哲治、今野東両議員が答弁に立った。
 
 小宮山議員は、難民認定や入国審査の際は難民条約の精神を理解して実施すべきとの考えを示し、在留資格取り消し制度については「恣意的に在留資格が取り消される懸念がある」として、取り消し処分への異議申立ての仕組みの必要性を指摘した。それに対して法務省の入国管理局長は「外国人に証拠の提出・意見を述べる機会は保証している。異議申立ての仕組みをさらに設ける必要はない」などとした。
 
 小宮山議員は強制退去手続きや在留特別許可や上陸特別許可の運用の際は対象外国人の家族の状況に十分配慮するよう要請。また、日本人の招きで来日したアフガニスタン青年が入国を拒否された例を挙げながら、上陸審査の際は十分に意思疎通できるよう母国語の通訳をつける、法相への異議申し立てについて内容を子細に説明するなどの配慮が必要だとの考えを示した。さらに、不法滞在対策を重視しすぎるあまり、就学生などを不必要に排除しないよう釘を刺した。
 
 さらに難民認定制度をめぐって小宮山議員は「認定手続きの公正さ・透明性を確保するうえで、外国人の入国を規制する出入国管理と難民を庇護するための難民認定がともに法務省の同じ機関で行われるのは問題だ」として、別機関で行うよう求めた。

 山内議員は、政府案に比べて民主党案のどこに特徴点があるのか質問。これに対して中村議員は、難民認定業務を法務省(入国管理局)から分離して独立の第三者機関(難民認定委員会)に移管することを挙げ、その理由として「不法入国を取り締まるところと庇護を求めるところが同居する現行制度は公平・公正な審査の担保という観点から問題。難民認定は高度な専門性と迅速性が必要」と答弁した。
 
 また中村議員は、難民認定申請者の保護、地位安定、公正・迅速な審査のためなどから難民認定申請期限(60日ルール)を撤廃すること、認定についての処分を6カ月以内に行うこと、難民認定基準を定めること、弁護人・通訳など補佐人とともに出頭できること、在留難民等に対し生活支援を行うことなどを民主党案に盛り込んでいることを強調した。
 
 同じく民主党案提出者である今野東議員も答弁に立ち、民主党案で難民申請者「上陸特別許可制度」「在留特別許可制度」を創設する理由として、「わが国に上陸・在留し難民申請する者は有効な旅券を持たない者が多く、不法上陸として退去強制処分となるケースが多い。申請者の法的地位を安定させ、難民申請を行いやすくする、退去強制処分を受けることがないようにする」と説明。政府案の「仮滞在の許可」では期間が暫定的で申請者の法的安定性が低いのに対し、民主党案が「やさしい仕組み」であると強調した。
記事を印刷する