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2003/02/07
【衆院予算委】前原議員、決議なきイラク攻撃への対応を質す


 衆議院予算委員会で、6日から03年度予算案をめぐる質疑が始まり、民主党から菅直人代表に続いて前原誠司議員が質問に立った。前原議員は、国連決議なきイラク攻撃の国際法上の根拠を質し、米国の行動を無条件で容認する政府の外交姿勢の危険性を浮き彫りにした。

 前原議員はまず、国連加盟国が他国を攻撃する場合の法的根拠が、国連憲章に定められた自衛権の行使、安全保障理事会の決議の2つしかないこと、および対イラクではその後者以外に妥当しうる根拠がないことを川口外相らに確認。その上で、国連安保理が昨年11月に採択した国連決議1441はイラク攻撃の根拠となりうるかを質した。

川口外相は、決議1441に基づいてイラクを武力攻撃することはできないと認めたが、湾岸戦争時の武力行使を容認した決議678(90年)や、大量破壊兵器撤去を求めた決議687(91年)は攻撃の根拠になりうるという考えを示した。前原議員は、全会一致で採択された最後の安保理決議(1441)において、「重大な違反」があったら安保理に報告し再度議論することが謳われているにもかかわらず、昔の決議を引っぱり出してきて決議なき攻撃を容認するのか、と批判。また、そうして米国による決議なき攻撃を日本が無条件で支持した場合、その報復としてテロが起こったら誰が責任をとるのか、と迫った。しかし川口外相は、「仮定に仮定を積み重ねた話には答えられない」などと逃げた。

前原議員は、国際社会の意志が成熟しないうちにイラクを攻撃するのは、かえって報復テロに理由を与えることになりかねないと指摘し、攻撃を認めた新たな国連決議を実現するために政府としてどのような努力を行うのか、と質した。しかし小泉首相は、「各国の対応などを見ながら」などとごまかすだけで、新たな決議が「望ましい」としながらも、そのために主体的に努力する意志のないことが明白になった。

また前原議員は、イラク攻撃とテロ特措法に基づいて展開している自衛隊活動との関係についても追及。とりわけ、広い範囲をカバーし、米軍とデータリンクしているイージス艦の情報収集活動は、イラク攻撃が起きた場合、テロ特措法に基づく部分(9.11テロに対するアルカイダ掃討作戦への後方支援)とそうでない部分とに切り分けられるのか、と質した。石破防衛庁長官は、データリンクのシステム上の問題などを挙げながら、「きれいに切り分けることは難しい」と認めた。前原議員は、「切り分けられないなら、テロ特措法に基づく自衛隊活動を中止するか、イラク攻撃支援の新規立法を行うしかない」と指摘し、なし崩し的なイラク攻撃支援にクギを刺した。

前原議員は最後に、1.4兆円もの公的資金注入を受けながら、架空融資や仮名口座などの手口で北朝鮮への不正送金を行っていた疑惑が持たれている朝銀の問題を取り上げ、全容解明と責任の明確化が一向に進まないことに抗議。政府として委員会に調査報告書を提出するよう強く要求した。
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