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2003/02/12
【党首討論】菅代表、主体性ない首相を痛烈に批判(2)




【北朝鮮問題】

菅 総理は予算委員会で、金大中大統領や盧武鉉次期大統領の太陽政策を支持すると言っていたが、どういう具体的な行動を想定して言ったのか。

小泉 話し合い路線ということ。武力によって北朝鮮の核問題や拉致問題を解決するのではなく、政治的・平和的解決に向けてやっていこうというのが金大中大統領の考え方。今後とも北朝鮮に対しては、話し合い、政治的解決をめざして韓国やアメリカと協議していく。

菅 総理は、あるときには、「まず北朝鮮がNPT脱退を撤回すべきだ。瀬戸際政策を続けるかぎり、対応は難しい」と表明していた。一昨日、私は盧武鉉次期大統領や金大中大統領と会談して、かなりはっきりした。もし北朝鮮が核カードを捨てないかぎり話し合いに応じられないという姿勢を米国がとれば、北朝鮮は応じないかもしれない。論理的には、国連決議を得て、米国は北朝鮮を攻撃することになる。そうすれば、北朝鮮は間違いなく韓国を攻撃するだろう。そのことは何としても避けたい。だから米国に対し、前提条件なしに北朝鮮と話し合いに応じるよう説得する−−というのが盧武鉉次期大統領の考え方だ。私はこの考えに賛成だが、総理も太陽政策を支持するというなら、一緒になって米国に前提条件なしの話し合いに臨むよう要請するということか。

小泉 盧武鉉次期大統領の特使と会ったが、三つ条件を挙げていた。(1)韓国は北の核を容認しない。(2)北との問題の政治的・平和的解決を望む。(3)日・米・韓で緊密に連携をとる。私もこれに賛成だ。米国も、かなりきついことは言っているが、つねに話し合いのドアは開けている。この路線は今後も続けていくべきだ。

菅 あいかわらず抽象的で何も答えていない。私は具体的に申し上げている。北は、今は脅しているが、それでも話し合いが必要だと米国を説得するのかどうかだ。この問題についての私の考え方を申し上げる。実は、韓国は核開発について意外なほど脅威を強く感じてはいない。つまり、北の核開発は韓国ではなく、米国や日本を狙ったものと見ている。韓国にとっては、米国から攻撃を受けた北朝鮮から何らかの攻撃があることを避けるのが最大の戦略目標だ。米国は、北の核開発そのものも問題だが、それを容認したら、日本も核開発をするということを恐れている。日本は、日本にとっての安全保障上の最大の脅威をどう取り除くか、拉致事件に対してどう根本的な解決を北朝鮮に呑ませるかという問題がある。それぞれ若干重視する点が違っている。そこで、日本と米国、韓国が若干異なるニュアンスを一本にまとめたらどうか。つまり、(1)核開発は永久に放棄する。(2)改革・開放政策をとる。(3)拉致事件解決のために最大限努力する。それに対して、米国は軍事力によって今の政権を打倒しないことを約束する。日本は日朝国交回復をしたうえで経済援助を約束する。韓国は、韓国は現在の南北交流をさらに深めていく。──このワンパッケージを提示する。金正日体制を守ろうというのではなく、それが暴発することをいかに防ぎ、次の時代に移していくかだ。総理は私の提案に対案があるなら示してほしい。

小泉 この北朝鮮との問題は、拉致問題、核兵器問題などを解決して国交正常化しようということが前提。その際に、北朝鮮は国際協定・国際法を順守して、疑念を払拭することによって、孤立しないで、国際社会で責任ある一員になるということが北朝鮮にとっても利益になるのだということを私は何回も金正日総書記にも言った。ブッシュ大統領も、この問題では日本・韓国の意見をよく聞くと言っている。政治的・平和的に解決を望むという菅代表の考えと本質的な違いはないと考える。

菅 とにかく、「意見を聞く」「意見を聞く」で自分の意見を何も持っていないというのが今の結論だ。

【財政健全化】

菅 総理は先日の予算委員会で、2010年代初頭にプライマリーバランスを黒字にするという目標を変えずに発言したが、塩川財務相も竹中経済担当相も、税収の見通しが大幅に違った、デフレ克服も明らかに遅れているとし、総理自身も、改革の成果が上がるにはまだ時間がかかると言った。つまり、15年度の予算の赤字幅は18兆という昨年度の見通しだったが、現実には26兆9千億。9兆円も赤字幅が増えている。それなのに、最後の到達は大丈夫だという。総理は、このプライマリーバランスの公約を守れるのか。あとになってまた「大したことない」と言わないように、しっかり答えてほしい。

小泉 楽な目標ではないが、歳出改革に努めて努力していこうということで目標を掲げている。
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