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2003/02/18
【衆院予算委】名古屋刑務所事件で法務当局の対応を追及
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衆院予算委員会で18日、03年度総予算に関する一般的質疑が行われ、民主党からは永田寿康議員、首藤信彦議員、山花郁夫議員、山井和則議員が順次質問に立つ予定だった。ところが、名古屋刑務所における受刑者暴行致死事件に関する山花議員の質問に対し、法務省矯正局長が国会を軽視する不遜な答弁を繰り返したことで紛糾。山井議員の持ち時間である午後の質疑時間まで延長して、山花議員が引き続き質問を行った。主な質問項目は以下の通り。
▼永田寿康議員=日銀による民間銀行保有株式の購入問題、道路公団民営化推進委員会の答申に基づく法案作成作業の進捗状況、答申の前提となった条件、保有・債務返済機構および新会社の財務状況の今後の見通しなど▼首藤信彦議員=イラク問題、北朝鮮問題など▼山花郁夫=名古屋刑務所の受刑者暴行致死事件 19日▼中村哲治議員▼平岡秀夫議員▼河村たかし議員▼上田清司議員
永田議員は、日銀による民間銀行保有株式の購入問題に関して、国会で一切議論されずに、首相と財務相と日銀の間だけで合意に至った点について、財政民主主義の観点からも極めて問題だと指摘。「最終的に損失が出た場合は、塩川財務相、速水日銀総裁、小泉首相の3人が個人的な責任を負うものと考える」と指摘した上で「日銀法でやるのは法律違反。万人が禁じ手だと思うことを法改正なしでできるわけがない」と問題提起した。
永田議員はまた、道路4公団民営化推進委員会の答申をめぐり、その前提条件となった具体的内容の提示を求めたが、同委員会の伴野事務局長は「決算資料などをもとにいろんな討議・検討をしてきた」などと、あいまいな説明に終始。石原行革担当相の答弁からも、具体的な前提条件に基づかないことが明らかになった。さらに答申に基づく法案作成作業の進捗状況について質したが、扇国土交通相は「できるものは今する、中期において行うもの、17年度に法案として出さなければいけないものに分類している」などと繰り返すだけだった。永田議員は「総理が改革の意欲に富んだ人を任命して作った同委員会の意見が、パブリックコメントや世論調査の結果のように軽い意見として扱われるのはきわめて問題」と厳しい口調で批判した。
また首藤議員はイラク問題について、14日のブリクス・国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)委員長による報告を聞いてから態度を表明するとしてきた日本政府の対応と、査察を切り上げて武力行使を行うことを容認する新決議を18日にも提出するとされている米国への姿勢について、川口外相に質問した。川口外相は「14日の(ブリクス報告の)説明で全部の情勢が見えたかというと、引き続きいろいろなことが起こっている。わが国の基本的な立場はまったく変わっていないが、武力行使について支持するか不支持かを言う適切なタイミングではない」として、「イラクが能動的に対応することが平和への鍵である」とのコメントを繰り返す以外は、日本の対応に関しては何ら明らかにすることはなかった。
山花郁夫議員は男性受刑者が保護房内で副看守長から高圧放水を受け、細菌性ショック死した名古屋刑務所の受刑者暴行致死事件を取上げた。まず名古屋刑務所が名古屋地検と法務省名古屋矯正管区に死亡事実を報告、2日後には同矯正管区に「自傷行為が死亡原因」との偽りの報告書を提出した経緯を確認し、「組織的な隠ぺい工作があったと認識する」と厳しく指弾した。
また内部告発・情報提供への対応について質したのに対して法務省矯正局の中井局長は「情報は保守・機密保持の観点から情報共有者を極力限定するのが原則。なぜなら、検察の捜査に協力する以外に、自分たち自身が刑務所内における犯罪を捜査していく司法警察の役目もあり、情報を出し過ぎると、事件は立件できなくなる。そうした認識に基づき、総務課長はもとより、法務大臣にも報告すべきものと判断してはいない」と語気を強めて言い放ち、議場は騒然。「では大臣なんていらいないということか」といったヤジも飛んだ。
午後の質疑で中井局長は、山花議員から発言の撤回を求められて従った。山花議員は森山法相の積極的な指導を求めると同時に「『国の人権水準は刑務所を見ればわかる』といわれるように、改善が必要」として早急な対応を求めた。
なお、この日の予算委員会では、03年度予算案の公聴会を25、26の両日開くことが全会一致で決められた。また20日には、「政治とカネ」の問題について集中審議を行う。
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