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2003/03/03
【衆院予算委】03年度政府予算案を可決
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衆議院予算委員会で3日午後、平成15年度総予算に関する締めくくり質疑と討論・採決が行われ、政府予算案が与党の賛成多数で採択された。
締めくくり質疑では、民主党から末松義規、上田清司、筒井信隆、長妻昭、河村たかし、石井一の各議員が質問した。
末松議員は、イラク問題に対する政府の対応について質問。まず、イラクへの武力攻撃を認める米英の国連決議案が採択された場合の日本政府の対応について、「決議が採択された時点で、イラクは“最後の機会”を逸したという判断になるのか」と尋ねた。しかし小泉首相は、「採択された後、イラクがどう判断するかだ。まだ時間はある」などと答弁。「イラクが最終的に国連決議1441を破ったと見なすというのが決議の内容ではないのか」と質すと、首相は「国際政治は複雑怪奇」などと奇怪な答弁。国際的にはイラク攻撃を積極的に支持する立場をとっていながら、国会ではそれを明瞭にしない姑息な態度を、この日もとり続けた。
また、イラク攻撃が強行された場合、日本が占領費、復興費などを負担するのか、と質したのに対し、首相は「応分の負担をする用意はある」と答弁。しかし、末松議員が「どのくらいの負担が必要だと試算しているのか。国民に説明すべきだ」と重ねて質すと、「まだ攻撃が始まったわけではない」などとして具体的な回答を避けた。
上田議員はまず、4月以降、医療費窓口負担増や発泡酒・ワイン増税など国民負担を拡大する施策が目白押しであり、その増額分は2兆5千億円に上るという試算を提示。「これで景気が良くなる予算だと言えるか」と質した。塩川財相は「1兆8千億円の先行減税がある。全体予算では減税の方が大きい」などとしたが、上田議員は先行減税分が証券税制や贈与税など一般国民と密接に関係しない内容のものであることを指摘し、政府の景気対策の欠落を指弾した。
さらに上田議員は、「予算の本当の中身に切り込む」として369兆円にも上る特別会計の実態を追及。とりわけ、雇用・能力開発機構による各地の勤労福祉施設の贈与が、ある地域では1億円、別の地域では1万円などというデタラメな価格で行われていることについて、理由を質した。同機構の七瀬理事長は、「それぞれの鑑定評価額に基づいている」などとしたが、極端な差があることの具体的な説明はできなかった。上田議員はさらに追及する意向を示した。
3番目に質問に立った筒井議員は、大島農水相の想定問答作成問題を追及。衆院法制局側は、2月19日の大島大臣からの想定問答作成依頼を翌日の衆院予算委での集中審議における金銭スキャンダル追及への対策と知っていて引き受けたことを重大問題だと指摘した。法制局の窪田局長、郡山次長は翌日の集中審議のためだとは思っていなかったなどとしたが、大島大臣からファックスされた週刊文春のスキャンダル問題の記事を読んだはずだと追及され、「読んだが、知らなかった」などと答える混乱ぶりだった。
また筒井議員は、大島大臣に対し「今後も法制局に問答づくりを頼むのか」と追及。大臣は、「Q&Aというようなものは依頼しない」としながらも、「法律上の問題について、取材や他党からの質問に答えるために整理しておくことは今後もありうる」などと答え、今回の想定問答作成も国会審議での答弁を想定したものであったことを、問わず語りに認めた。
長妻議員は、小泉首相の実弟で私設秘書の正也氏が経営していた横須賀市内のコンサルタント会社「コンステレーション」をめぐる問題を取り上げた。同社の監査役は飯島勲・首相秘書官が就任。「日立金属」(東京都港区)とコンサルタント契約を結び、横須賀市が発注したポンプ場関連事業の営業活動に有利になる情報を提供。日立金属が同事業を落札した後、情報を提供した見返りに口利き料を受け取ったと20日の衆院予算委員会で長妻議員は指摘したが、首相は全面否定した。
長妻議員は「契約はないとする答弁を撤回するか」と質したが、首相は「契約はともかく疑惑はない」「疑惑をもたれるような契約はない」「特定の工事発注に伴う契約はない」「領収書は書いたというが、不当な口利きなどではない」「口利きなどの疑惑に対する契約はない」などと、事実開示回避の答弁に終始。委員会が何度も中断し、首相の姿勢を批判する声がたが、首相はあくまで開き直りの答弁を重ねた。
河村たかし議員は、名古屋刑務所の受刑者死傷事件をめぐり、森山法相の責任を追及。「謝ってすむ問題ではない。その責任は非常に重い」として、森山法相に辞任を迫った。
河村議員は職員から暴行を受けたことを訴える法相への情願が平成13年、14年とも130件もあった事実を明らかにし、「受刑者からの膨大な声はいったいどこへ行っていたのか」ときびしい口調で指摘。法相は就任当時は情願の存在を知らず、一連の事件があって、今年から情願に目を通すようになったと答弁した。河村議員は情願は矯正局職員どまりで訴えは握りつぶされ、法相には受刑者の声が届かなかった現状を改めて指弾。「(法相が情願に目を通していれば)被害は防げたはず、知らなかったではすまされない。業務上過失致死の可能性もある」と指摘し、人権の番人であるはずの法務省が人権蹂躙・組織的隠蔽を行っていたに他ならない実態を問題視し、法相罷免を小泉首相に要求した。首相は「反省点は多々あった。反省すべき点は反省しながら、批判を受けないような対応をすることが法相の責任」などと、人ごとのような答弁を繰り返すにすぎなかった。
最後の質疑には民主党副代表の石井一議員が立ち、政治不信を払拭するには小泉改革の断行が不可欠であるにもかかわらず、改革は進まないどころか失速・後退している実態を指摘。「自民党を壊すと最近は言わなくなったのはなぜか」として、首相の所見を質した。それに対して首相は「自民党を変える。変わらなければぶっ壊すと言った。しかし自民党は変わってきている」などと答弁。石井議員は「そう思うこと自体、感覚が狂ってきている」として、小泉首相の政治姿勢を批判した。石井議員は小泉首相就任以来、自民党内には63件もの不祥事が続いている実態を指摘し、自民党長崎県連の違法献金事件へと集約される悪徳献金・税のピンはねをよしとする自民党体質は何ら変わっていないと指弾した。
また、サラリーマンの医療費3割負担実施について「実行すべきことをやらずに、やらなくてもいいことを行っている」として、凍結を要請。さらに、一内閣一閣僚の公約が破綻した今となっては、躊躇なく森山法相、大島農水相らを罷免すべきだと問題提起した。
質疑後、民主党はじめ野党4会派は共同で政府予算案に対する組み替え動議を提出。政府予算3案と動議が一括して討論に付された。民主党からは中村哲治議員が発言し、政府予算案の問題点として、1)税収の大幅落ち込み、2)国債発行30兆円枠放棄、3)失政のツケを国民負担増で払わせる、4)既得権益で固められた歳出構造、5)首相の改革姿勢の後退、の5点を提示、同案への反対を力強く訴えた。
その後、採決が行われ、野党の組み替え動議は賛成少数で否決。政府予算案が与党3党などの賛成多数で原案通り可決された。
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