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2003/03/14
【参院本会議】大塚議員、定性的分析なしの財政構造改革を批判


13日、参院本会議において、平成15年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案をめぐる質疑が行われ、民主党・新緑風会の大塚耕平議員が質問に立った。

 大塚議員は、5日の参院予算委員会における民主党の直嶋議員の質問に対して、首相が「私は(国債発行30兆円枠を)15年度も守るなんて全然言っていない」などと答弁したことを取り上げ、小泉内閣発足直後の「30兆円以下に国債発行を抑制するとの方針は14年度以降も堅持したい」という答弁との整合性について追及。しかし塩川財務相は「ご指摘の本会議での総理の答弁は、国債発行額を30兆円以下にすることを目標とすると言明したものと思われる」などと逃げの答弁を行った。

 続いて大塚議員は、財政肥大化の「歯止め」となる財政運営ルールについて塩川財務相に質問。国債発行30兆円枠が単年度予算編成における財政肥大化の新たな歯止めになっていたとの見方を示し、「(その枠がなくなった)現時点における歯止めはいかなる原則・財政運営ルールか。塩川財務相は新しい歯止めは2013年度プライマリーバランス黒字化だとしたいところだろうが、それは歯止めではなく10年後の目標にすぎない」と指摘。塩川財務相に答弁を求めた。

 塩川財務相は「プライマリーバランスの黒字化は財政上の非常に大きな宿題。最終的にプライマリーバランスをゼロにすることを2010年の早い時期に行うように設定した」などと答弁するにすぎなかった。

 また大塚議員は、財政赤字がこれほどまでに肥大化してしまった原因について、塩川財務相はじめ竹中金融・経済財政担当相、片山総務相にそれぞれ見解を質した。

 塩川財務相は「非常に残念」などと他人事のような答弁をした上で、「国債の発行に頼っている比率が非常に高いことが財政赤字肥大化の定性的な原因。国の収入をどのようにはかり、財政支出をどう削減するか、きびしい給付と負担の関係を検討することを必要とされる」とするにとどまった。
 
 大塚議員はOECDの最新統計を参考にしながら、「予算規模は統計上で2番目に小さいのに対し、債務残高が圧倒的に多いのはなぜか。独立行政法人や公益法人への間接的支出によって実質的な予算規模はもっと大きいとか、隠れ借金の利払い負担があるとか、中央政府や地方政府の政治間財政調整制度の構造に赤字を生み出す体質が内在していることはないか、といった定性的な分析なしの財政構造改革など絵に描いた餅だ」と指弾した。

 大塚議員は日銀による国債購入額の急増について「全面的に否定するものではない」としつつも、本来の政策目的は成長通貨の供給だったにもかかわらず、現下の事態は日銀が事実上、財政ファイナンスを行っているに等しく中央銀行の財政当局化が起きていると分析。「中央銀行が財政当局的な政策行動を行うならば、国会で審議すべきだ」と指摘した。
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