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2003/03/14
【参院本会議】高橋議員、地方税法改正案等で質問


民主党・新緑風会の高橋千秋議員は14日、参議院本会議で政府提出の03年度地方財政計画、地方税法等改正案、地方交付税法等改正案の趣旨説明に対する質問に立った。

 高橋議員は、03年度の地方財源不足が17兆4000億円に上り、地方交付税総額ととほぼ同額という状況について「地方の財政はまさに非常事態」と強調し、その中で同年度から3年間の先行減税を行うことに疑問を呈した。同時に、この減税が4年目以降の増税とセットで「多年度税収中立」と表現されていることについて、実際には多年度で増税超過になるのではないかと指摘し、「たんなる実質増税のカモフラージュではないか」と批判した。また、先行減税による減収分は借金でまかない、将来の地方交付税原資や地方税の増収で返済することとされている点については、国税・地方税が大幅に減り続けている中、「増収の確実な見込みがあるのか」と質した。塩川財務相は、高橋議員の指摘した疑問には答えず、「減税はいつでも賛成してもらえるが、増税は難しいので、今回は大幅な減税と、それに見合う増収対策をセットで提案した。ご了承願いたい」とかわした。

 来年度末で48兆5000億円に上る交付税特別会計借入金の残高について、どのように償還するのかとの問いには、片山総務相は「国分16.7兆円は平成30年までに一般会計から、地方分31.8兆円は平成38年までに地方交付税原資から償還すると、ちゃんと法律に書いてある」と力んだものの、「基本的に心配はないと思うが、経済活性化策や税源移譲などの対策を総合的に進める必要がある」と心もとない答弁。塩川財務相も「大変な金額。大変な努力とご理解が必要だが、どうしても償還はしなくてはならない」と、ますます不安にさせる答弁ぶり。

 今回の地方税法改正案には、04年度以降実施される外形標準課税が盛り込まれた。このことについて高橋議員は、「外形標準課税の導入は地方公共団体としては戦後のシャウプ勧告以来の悲願とも言え、地方に財源を移す地方分権の実現のためにも必要」と基本認識を表明したうえで、今回の政府案が対象法人を資本金1億円超と限定したことや、雇用に与える影響への配慮不十分など、「もっと慎重かつ十分に検討すべきところが多く残されている」とし、日切れ法案扱いで一気に成立させようとする政府の姿勢を批判した。片山総務相は、「あるべき税制改革の一環として提出しているもの。実施には1年くらいの準備期間も必要だ」と答えるにとどまった。

 国庫補助負担金、税源移譲を含む税源配分のあり方、地方交付税の「三位一体の改革の芽出し」とされた国庫補助負担金の一般財源化については、高橋議員は、その財源が赤字国債を財源とする地方特例交付金や交付税特別会計の借入金であり、従来の制度の延長にすぎないと批判。「国庫補助負担金の削減に伴う財源は税源移譲が大原則。こんな財源措置では『芽出し』どころか、伐採した木の根株から出てくる『ひこばえ』でしかない。財務省は財源を手放さず、総務省は地方交付税や地方特例交付金の拡充を目論んでおり、結局三位一体の改革どころか、八方ふさがりの改革で終わってしまう」と断じた。片山総務相は「三位一体の改革は、閣議決定を2度もやり、政府の意思として確定している。夏くらいまでに全体像と工程表を明らかにする」と反論したが、議場からは失笑が漏れた。

 高橋議員は、分権の受け皿にふさわしい体制整備のあり方として市町村合併を「選択肢の一つ」と肯定したうえで、現在政府が進めている合併の施策を「強制的な色彩が強く、地方からは大きな反発も出ているし、ハコ物的な公共事業誘導策だ」と批判。また、地方交付税の段階補正や留保財源率の見直しについても、「小規模町村の生き残りを絶つような強制的な色彩の強い合併手法だ」として再検討を迫った。片山総務相は、「今回の合併は、明治や昭和の大合併と異なり、あくまでも自主的合併。ハコ物は私も嫌いだし、地方も懲りている。地方の良識に期待する。段階補正や留保財源率の見直しは、合併とは関係ない。小さいところが優遇されすぎているという声もあり、実情を調査の上でやっていること」と答えた。
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