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2006/05/12
教育基本法に関する検討会、日本国教育基本法案(新法)要綱発表




民主党教育基本問題調査会は12日午後、党本部で「第6回教育基本法に関する検討会」を開催。これまでの検討会で出席議員から示された意見等を踏まえ、検討会座長の西岡武夫参議院議員(元文相)が党独自案の原案となる「民主党の教育基本法案要項(座長試案)」を示し、55人の議員が出席のもとで5時間近くに及ぶ集中審議を行った。
 
 また、検討会後には西岡座長はじめ調査会顧問の松本剛明政調会長、会長代理の藤村修衆議院議員、副会長の佐藤泰介参議院議員、事務局長の鈴木寛参議院議員、事務局長代理の笠浩史衆議院議員の6人がさらなる議論・確認作業を行った後、「日本国教育基本法案(新法)要綱」(民主党「教育基本法に関する検討会」案)を党本部で記者発表した。
 
 「日本国教育基本法案(新法)要綱」では、この間、焦点となっている愛国心については、「日本を愛する心を涵養し」との表現が前文に盛り込まれた。また、愛する対象を制度としての「国」でなく「日本」とした。「涵養」とは、自然に養い育てるという意味をあらわす。政府案では教育の目標として「わが国と郷土を愛する態度を養う」と記述している。新法は前文と21条からなる。
 
 記者会見の冒頭、西岡座長は「政府・与党が提出している教育基本法改正案とは全くちがう法案。対案ではない」と表明。政府案が現行教育基本法の全改正案であるのに対し、民主党が提出するのは新法だとして、「そのようにご理解いただきたい」と語った。同時に検討会がとりまとめた要綱案は検討会の上部機関である「教育基本問題調査会」に15日には報告されるとしたうえで「調査会の議と党内の所定の手続きを行い、立法作業を経て国会に提出する予定だ」と語った。「提出予定は未定だが、今国会に提出する」とも重ねて表明した。
 
 「日本国教育基本法案(新法)要綱」(民主党「教育基本法に関する検討会」案)の特徴等については、会見で鈴木事務局長が説明した。主な特徴は以下の通り。
 
(1)第1条「教育の目的」――現行教育基本法の目的が広範囲に渡っているのに対し、「日本国憲法の精神に基づく真の主権者としての教育」を重要視したうえで、人間の尊厳を重んじ、民主的で文化的な国家、社会及び家庭の形成者たるに必要な資質を備え、世界の平和と人類の福祉に貢献する心身ともに健やかな人材の育成に期すとした。

(2)第2条「学ぶ権利の保障」――法案の最大の特徴のひとつ。現行教育基本法にある「国民の」ではなく「何人も」としたことで、より強く学ぶ権利の保障を謳っている。

(3)第3条「適切かつ最善な教育機会・環境の確保・整備」――「単なる平等」を求めて示された機会均等ではなく、それぞれの子どもに応じた状況に対して適切かつ最善な環境の確保・整備を目指すこととしている。

(4)第6条「幼児期の教育」――時代の要請に即してまさに新しく盛り込まれた内容で、「国及び地方公共団体は、幼児期の子どもに対する無償教育の漸進的な導入に努める」として、幼児期の教育に対する国及び地方公共団体の責任を明確に示した。

(5)第13条「特別な状況に応じた教育」――障がい者の学習権の保障に関する国際的な動向をさらに踏み込む形で規定。一時的な障がいも対象に含め、国及び地方公共団体が個別具体的な最善の支援及び援助を行うよう定めた。

(6)第14条「職業教育」――日本の青少年がかかえている問題の解決が不可欠だとの観点から、フリーター・ニート対策として、勤労の尊さを学び、職業に対する素養と能力を修得するための職業教育の機会を提議した。

(7)第16条「生命・宗教に関する教育」――子どもが子どもを殺すといった事件が相次ぐなか、その対策として「生の意義と死の意味を考察し」とあえて明記したうえで、生命あるものを尊ぶ態度を養うことを重要視し、教育上尊重されなければならないと定めた。

(8)第17条「情報文化社会に関する教育」――パソコン、コンピュータ、テレビゲーム等を通じてバーチャルな世界を体験することで、従来では想像もできなかった影響が子どもたちに暗い影を落としている状況をふまえ、仮想情報空間におけるコミュニケーションの可能性、限界および問題点をすべての児童生徒にきちっと教えていくことを明確に示した。

(9)第18条「教育行政」――民主的な運営が行われなければならないとの思いのもと、「教育行政は、民主的な運営を旨として行われなければならない」との一文をきっちり盛り込んだ。さらに、「地域の子どもは地域で育てる」との考え方で、コミュニティスクールのコンセプト等も加えた。

(10)第19条「教育振興に関する計画」――「わが国の教育費の対GDP比率は先進国中最低」との現状認識に立ち、教育の振興に関する基本的・具体的な計画を定めることを国に求めるとともに、教育費の確保・充実の目標を計画に盛り込み、計画と実績は国会を通じて国民に報告するよう要請すると定めている。
関連URL
  民主党 日本国教育基本法案(新法)要綱(検討会案)について
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=37
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