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2003/03/25
【衆院本会議】斎藤議員、雇用保険の抜本改革の必要性を指摘


衆議院本会議で25日、内閣提出の雇用保険法等の一部を改正する法律案と民主党提出の雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案の趣旨説明が行われ、民主党・無所属クラブの斎藤淳議員が質問に立った。
 
 斎藤議員は小泉政権が不良債権処理と構造改革を先送りしている間、不況はさらに深刻化していると断じた。その上で斎藤議員は、本来の雇用政策は単なる失業対策ではなく、新しい雇用を創出し、新たな産業を育成するものでなくてはならないと提案。竹中金融・経済財政担当相、坂口厚労相に、新たな雇用創出、産業分野の育成の明確なビジョンを示すよう質した。斎藤議員は、住民が必要としないハコモノにお金をつぎ込む従来型の単純な公的雇用創出ではなく、自然を守るために予算配分するなど、公益の実現に必要な事業を雇用対策の一環として選択すべきだと提案した。
 
 竹中金融・経済財政担当相は「政府はビジョンとしていわゆる改革と展望を作成し、1月には改訂を行った。これに基づき、構造改革を加速することにより、民業の拡大をはかり、職業能力開発の機会を拡充し、民間事業主導の着実な成長と雇用機会の拡大につとめる」と、相変わらずの空虚な答弁を行った。坂口厚労相は「厚労省では雇用創出に向け、都道府県の労働局と経済産業省の経済産業局と連携し、地域の実情を踏まえたミスマッチの解消、雇用創出をめざす新規産業、雇用対策プログラムを実施している」などとした。
 
 斎藤議員は「活力ある個人と社会にとって雇用とセーフティネットは不可欠であり、そこには万一失業しても必ず新しい適職を見出すことのできる能力開発のシステム、その間の生活支援システムが組み込まれていなければならない」と指摘。そうした点を考えると、今回の政府案はあれこれ盛り込んでいるかのように見えて、破綻寸前の保険財政を安易な給付削減によってつじつま合わせしようとしているにすぎないと批判。坂口厚労相に対し、「この小手先の改革案で、雇用保険財政は何年持つか」と質した。同時に民主党案提出者に対し、政府案とのちがいを明確に示すよう求めた。
 
 坂口厚労相は「今後5年間程度は安定的運営が確保できるよう、給付および負担の両面にわたる見直しを行った」と述べた。また、民主党提案者の加藤公一議員は、平成15年度民主党予算案にある通り、民主党は無駄な公共事業削減により捻出した8.8兆円の財源によってグループホームの1万戸増設、学童保育の充実、30人学級を実現することで、100万人の雇用創出を提起していると説明。また、新たな産業を育成する観点から民間の創業を支援するとともに、雇用の受け皿としてNPOの役割を重視し、育成を図ると答弁。民主党案では雇用保険財政の安定を目的とした2兆円規模の失業等給付資金を一般財源から繰り入れており、これにより労使とも負担の増加を強いられることなく雇用保険財政の安定を図っていけると、加藤議員は答弁で述べた。
 
 斎藤議員はまた、「求職者給付の支給を受ける者は、誠実かつ熱心に求職活動を行うことにより、職業に就くように努めなければならない」と明記されている法改正の条文にある「就職への努力」項目について、毎年保険料を上げなければならない見通しの甘さを棚に上げ、わざわざ「正しい失業者像」を条文に書き込む資格など政府にはないと断じるとともに、この条文は単なる給付の厳格化に終る恐れもあるとの見方を示した。

 さらに斎藤議員はそもそも政府は国民に負担を押し付ける前に、自らの身を削ってやることがあると指摘。坂口厚労相に、雇用保険三事業の保険料率の引下げ、その分を失業等給付に回すよう事業者に説得するなど、抜本的な改革にメスを入れるよう求めた。
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