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2002/11/12
【衆院本会議】北橋議員、原子力安全行政の立て直し迫る


 衆議院本会議で12日、内閣提出の原子力関連2法案(電気事業法及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案、独立行政法人原子力安全基盤機構法案)の趣旨説明と質疑が行われ、民主党の北橋健治議員が質問に立った。

 北橋議員はまず、東京電力の原子炉点検記録改竄事件をめぐる行政責任について質問。今回の事件が、経産省の原子力安全・保安院と原子力安全委員会とによる“ダブルチェック体制”の破綻を示すのものであることを明らかにし、安全規制行政、とりわけそのトップに立つ経産相の責任を厳しく指摘した。その上で、事件の再発防止に向け、安全・保安院を経産省から独立させて内閣府に置くとする民主党の原子力安全規制委員会設置法案の内容を提起し、経産相の見解を求めた。

 また北橋議員は、政府がうち出している原子炉自主点検の法制化、安全維持基準の緩和などの措置がずさんで国民のへの説明を欠いていることを指摘し、「そもそも自治体の信頼回復に向けた行動計画はあるのか」と追及。さらに、今回の事件で政府が内部告発者の氏名を東京電力側に漏らすという度し難い失態を演じたことを指弾し、今後の内部告発者保護に向けた施策についても質した。

 答弁に立った平沼経産相は、事件の再発防止に向けてはあくまで“ダブルチェック体制”の強化をもって対応するとし、自治体の信頼回復に向けても「きめ細かな情報提供」を挙げたにすぎなかった。内部告発者の保護策に関しては福田官房長官が答弁したが、「今後、最善を尽くす」と述べただけで、具体策はなかった。

 次に北橋議員は、今後のエネルギー政策との関連で質問。今回の事件によって原発の運転停止が相次いでいる中で電力の安定供給は確保できるか、2010年までに10〜13基の原発を新増設するという従来の計画は維持するのか、などについて質した。また、エネルギー課税の再構築や再生・新エネルギーの開発加速の必要性を提起し、政府の見解を求めた。

 経産相は、当面の電力供給について、火力発電施設を最大限活用することで原発の減少分をまかなうと答弁。原発の新・増設計画については、「まずは(原子力政策に対する)信頼回復に全力を挙げる」と答えるにとどまった。再生・新エネルギーの開発についても、「促進に最大限努力する」と述べたにすぎなかった。

 最後に北橋議員は、衆議院にエネルギー政策調査委員会を設置することを呼びかけ、質問を終えた。
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