ニュース
ニュース
2002/11/19
【衆院財金委】ペイオフ再延期法案等、政府案を可決




 衆議院財務金融委員会において19日、内閣提出の「預金保険法及び金融機関等の更正手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案」(ペイオフ再延期法案)および「金融機関の組織再編成の促進に関する特別措置法案」の締めくくり総括質疑と採決が行われた。民主党は、ペイオフ再延期法案に対して修正案を提出し、金融機関再編促進法案にも反対したが、採決の結果、賛成多数で政府案が原案通り可決された。

 質疑に先立って、ペイオフ再延期法案に対する修正案の趣旨説明に立った古川元久議員は、政府案について「政策転換の説明責任を果たすことなくペイオフ凍結の2年間延長を決めた、小泉経済失政の象徴というべき法案」と喝破。中小企業への貸し剥がしなどをただ2年間放置するにすぎないペイオフ再延期を1年に抑えて金融危機克服に有効な措置を実施すること、一般預金の預け替えによる金融機関の資金繰り悪化を生みかねない決済用預金創設措置を削除すること、の2点を盛り込んだ修正案への賛同を呼びかけた。

 3案一括して行われた質疑では、民主党からまず海江田万里政調会長がペイオフ再延期法案について質問。2004年度以降も無期限に全額保護される決済用預金の設置について、「こんな制度は世界のどこにもない」と指摘し、ペイオフを解禁しても普通預金が決済用預金に流れていけば効果は大きく減退し意味がなくなる、として両案の提出者に見解を求めた。

 竹中金融・経済財政担当相が「金利がつかないなど、モラルハザードが生じないような仕組みをつくる」などと答弁したのに対し、民主党案提出者の五十嵐文彦議員は、「決済性預金だけが優遇されれば、安定的な融資ができなくなる恐れがある。ペイオフはそもそも、金融機関の破綻を限定的なものにとどめることで健全な銀行の預金者を保護するのが目的なのに、それが崩れてしまう」と政府案を批判した。

 さらに海江田政調会長は、ペイオフが解禁される2年後には金融システムが安定していることを前提としているのだから、そもそも決済用預金の創設など“無用の長物”ではないか、と追及。竹中金融・経済財政担当相の「安心して決済できる仕組みを政府として持っていることは意味がある」などという苦しい答弁に対して、「ペイオフの2年延期と決済用預金を守ることとは切り離して考えるべきだ」と一喝した。
 
 続いて質疑に立った五十嵐議員は、政府の金融危機対策の問題点をめぐって質問。銀行の資産査定における繰り延べ税金資産の資産性認定や産業再生機構による銀行債権の買い取りに当たって、大手金融グループ寄りのスタンスに陥る懸念を具体的に指摘し、クギを刺した。また、金融機関再編促進法案で健全行同士の合併に公的資金の注入が可能とされていることについて、「健全」の判断基準があいまいで悪用の恐れがある、と指摘。金融庁の藤原総務企画局長は、経営基盤強化計画の認定を要件とするとしたが、その内容は明らかにできなかった。

 次に一括討論に移り、永田寿康議員がペイオフ再延期法案に対する修正案への賛成討論を行ったが、採決では及ばなかった。
記事を印刷する