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2003/04/16
【参院本会議】池口議員、道路関連2法案提出の不透明な経緯を追及


参議院本会議で16日、「本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成15年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案」および「高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案」の趣旨説明と質疑が行われ、民主党・新緑風会の池口修次議員が質問に立った。
 
 法案質疑に先立ち池口議員は、政治課題に対する政府の説明責任について追及。イラク攻撃に対する政府の立場が不明確で、説明責任を果たしていないとの批判に対し、小泉首相がその原因はマスコミ報道のあり方によるもので自分の責任ではないとした姿勢を批判し、「一国の責任者としてはなはだ無責任であり、わが国の行く末の舵取りを任せるに値しない」と断じた。池口議員はイギリスのブレア首相はじめ欧米のリーダーにならい、直接国民に語りかけ、説明責任を果たさなければならないと指摘。「ワンフレーズ・ポリティクス」の汚名返上のためにも、現在福田官房長官が行っている定例記者会見を首相自身が行い、説明責任を積極的に果たす形に変えるべきだと提案した。しかし福田官房長官は「イラク攻撃時は(総理は会見を)節目節目で適切に行い、よく説明していた」などとし、会見の体制は現状のままで適切だとの考えを示した。
 
 池口議員は続いて、今回の2法案提出と4公団民営化との関係について質した。小泉改革の金看板であったはずの道路関係4公団民営化の実現に向け、昨年12月に道路関係4公団民営化推進委員会が最終意見を出したにもかかわらず、政府の対処方針の具体的な検討は扇国土交通相に丸投げされ、法案提出は来年の通常国会とされただけで、政治方針は示されていない点を指摘。そうした状況下で昨年12月12日に政府与党間で交わされた「道路関係4公団民営化について」の申し合わせに沿って、この2法案が提出されるに至った合理的な理由の説明を扇国土交通相に求めた。同時に小泉首相の意を受け「必要のない高速道路は作らない」と力説してきた石原行革担当相の考えを質した。
 
 扇国土交通相は「昨年末に出された道路関係4公団民営化推進委員会の意見については、可能なものからできるだけ早期に具体化をはかっていく」などとし、その前提となる関連2法案を今国会に提出したと答弁した。また石原行革担当相は抑揚のなく原稿の棒読みした上で、「今後も必要のない高速道路は作らないとする方針に変わりはない。さらに厳格な事業評価を行い、国民への説明責任を果たすことが重要」などとする言葉のみ力説した。
 
 次に、池口議員は本州四国連絡橋公団の債務の軽減を図るための緊急特別措置法案について質問。「本四公団への1兆3400億円投入の理由は何か」として、国費投入は行わないとしてきた小泉内閣の方針変更の理由を質した。また、「国民につけを回すことを決定したのであれば、(これまでの)巨額債務発生の原因を究明した上、責任の所在も明らかにすることが政治の責任」と断じ、扇国土交通相に説明を求めた。
 
 扇国土交通相は「将来の国民負担の膨張を食い止める必要があるとの観点から本四公団の債務は切り離した上で、国等が提唱して適切な処理を進めるべきと民営化推進委員会の意見でも提言されている」などとするだけで、納得いく答弁はなされなかった。
 
 続いて池口議員は、高速自動車国道法等の一部を改正する法律案について質問。地方にとって本当に必要な道路であれば国と地方の負担で造ることができるとしている法案の中身について、池口議員は「決定済みの9342キロの高速道路整備計画を精査せず、根本的な必要性を曖昧にしたまま、いったいどのようにして建設路線を選定できるのか」として、選定基準の不明確さを指摘した。
 
 さらに池口議員は、道路整備に特定された巨額の財源である揮発油税、石油ガス税などの道路特定財源を一般財源化し、地方の自主性を尊重する観点から一般交付金財源として道路などの社会資本整備に当てるべきとする民主党案を示した。同時に、複雑かつ過重な自動車関係諸税の簡素化・適正化の必要性を指摘し、自動車重量税は本則税率に戻して自動車税と統合し、消費税との二重課税となっている自動車取得税の廃止も提案した。
 
 池口議員は最後に「小泉内閣の目玉とされた高速道路への税金投入見直しも、いったんは道路公団への3000億円の投入を廃止して国民の支持を得たが、今法案で3000億円の税金投入は見事に復活し、自民党族議員の思惑通りに進んでいる」と断じ、首相がどう抗弁しようとも小泉内閣の公約がごまかしだったことは明確だと指摘して、質問を締め括った。
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