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2006/06/02
与党による一方的な法務委審議に、平野代理らが会見で怒りの声


 2日夕方、衆議院法務委員会で、与党側がわが党議員に通告もなく、一方的に共謀罪を含む条約刑法の審議を行ったことに関して、平野博文国会対策委員長代理、平岡秀夫法務委筆頭理事・高山智司同理事をはじめとする法務委員と千葉景子参議院議員(『次の内閣』ネクスト法務大臣)らが、国会内で緊急の記者会見を開催した。

 冒頭、平野国対委員長代理が、昨日の衆院本会議場での、渡部恒三国対委員長への細田国対委員長の「民主党案丸飲み」の発言から、後で修正すればいいという細田国対委員長の発言、条約批准できないとする麻生外相の発言の報道も含めて、この間の経緯を説明。民主党案が成立するのであれば丁寧に対応するとしていたにも関わらず、細田・麻生発言が出たことで「外務大臣と国対委員長の真意が図りかねる」事態となったことから、民主・自民の国対間の問題としてこの問題を取り扱うことになったと指摘した。

 そして、今後の取り扱いについては、来週月曜に協議を行うと国対間で合意したにも関わらず、夕方になって与党側がこの合意を一方的に破棄し、委員会審議を進めた事実について平野国対委員長代理は、「きわめて信頼関係を損なうものと認識している」と、厳しい口調で批判した。平野国対委員長代理は更に、月曜日に鳩山幹事長、渡部恒三国対委員長ら党幹部と改めて対応を協議するとした。

 続いて法務委筆頭理事の平岡議員も、法務委理事会の動きなどを報告。細田国対委員長や麻生外相の発言を鑑みれば、本当に民主党案で成立を図り、それを元に条約批准を進めていくという、「真摯な努力をしていこうという姿勢が見えない」ことを指摘し、「こういう状況の下で審議を進めていくわけにはいかない」との意向を持ったことを改めて述べた。

 また、一方的に行われた質疑の中で与党筆頭理事が、共謀罪の今日の採決が約束されていたなどと発言したことについても、「約束したわけではない」と否定。これまでの外相らの答弁と民主党の修正案の整合性がとれるかについて、政府がそういう作業をしていくという確認がとれるなら、採決もあり得るとの考えであったことを指摘した。

 このほか平岡議員は、石原法務委員長も、与野党の合意がなければ採決しないと明確に述べていること、昨年10月の質問主意書への答弁といわゆる「民主党案丸飲み」が矛盾しており、閣議で答弁書を変更する手続きが必要であること、審議の中で塩崎外務副大臣が麻生外相の書面を読み上げたものの、民主党案のままでは国際条約の批准はできないと、明確に麻生外相は会見で述べていることなどの事実も指摘。石原委員長が冒頭で、委員部の職員を以て野党議員の出席を求めたと発言したが、民主党の委員に対してそうした呼び出しは無く、議事録削除を要求していくことなどについても、厳しい口調で語った。

 更に平野国対委員長代理は記者団の質問に答え、国対間の合意を破棄した与党を改めて厳しく批判し、協議再開にあたっては、合意破棄に関して「釈明をしていただかなければならない」と指摘。「これ以上、共謀罪について(協議を)やる必要はもうないと思うくらい怒っている」とし、それほど「信頼感を損なった」と、怒りの表情で語った。
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