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2002/11/27
【衆院厚労委】拉致被害者支援法を全会一致で可決


 北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法案が27日の衆議院厚生労働委員会で委員長提案され、全会一致で可決された。同法案は28日の衆議院本会議で可決、12月4日には参議院本会議で成立する見通し。

 委員会では民主党から菅直人議員が、拉致問題と被害者支援策、北朝鮮核開発問題に関して質問した。菅議員は冒頭「私自身を含めて拉致問題について、十分な取り組みができなかったことを反省したい。政治家の一人としてお詫びしたい」と発言。次いで「曽我ひとみさんの夫のジェンキンスさんの訴追免除をケリー副長官に求めたのか」と質問した。安倍内閣官房副長官は「極めて微妙な問題なので曽我さんには話しているが、この場では内容を言うことがいい結果につながるかどうか、心配」であるとして、直接質問には答えなかった。菅議員は「要請すべきだ」と重ねて考え方を表明した。

 菅議員はさらに、今回の法案の趣旨を中国残留邦人にも適用すべきだと提起。「中国残留邦人の調査・作業を始めたのは81年。帰国作業の遅れは行政の不作為にあたる。(拉致問題と)共通と考えるべき」と迫った。坂口厚労相は「残留邦人への対策・施策には不十分なところがあると思っている。総合的に判断する。可能性は否定しない」と今後の対策を示唆した。

 さらに菅議員は核開発について「(平壌宣言では)国際的合意を遵守するとなっているが、北は核開発をしていないとも言っていない。第一回目の国交正常化交渉で確認したのか」と質した。安倍副長官は「約束を守れと今後も言っていく」と質問には直接答えなかった。

 法案は「国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、被害者及び被害者の配偶者等の自立を促進し、被害者の拉致によって失われた生活の基盤の再建等に資するため、拉致被害者等給付金の支給及びその他の必要な施策を講じること」を目的としている。具体的には、帰国費用の国による負担、生活保障として5年を限度の給付金の毎月支給、年金の給付、公営住宅への入居、雇用機会の確保、教育機会の確保などで、かなりきめ細かなものとなっている。給付金は単身世帯で月17万円、2人世帯で24万円、3人世帯で27万円で、一人増えるごとに3万円が加算される。
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