ニュース
ニュース
2002/11/27
アフガニスタン女性支援会議を開催


 民主党は27日、アフガニスタン女性招聘事業の中心企画であるアフガニスタン女性支援会議を東京都内で開き、NGO・NPO関係者、女性運動家、ジャーナリスト、写真家、学生など、約150名が参加した。

 会議は支援会議実行委員長である鎌田さゆり男女共同参画委員長の司会・進行で始まり、鳩山由紀夫代表が主催者挨拶に立った。

 鳩山代表は「日本として、民主党として、アジアの同胞としてアフガニスタンに対して何ができるか、考える機会を持ちたい。鎌田実行委員長はじめ議員の皆さんのそうした情熱が実り、今回の会議が行われることになった」と経緯を報告。「支援のあり方の検討に向けた有意義な会議となるよう積極的な参画を」と参加者に呼びかけた。

 続いて日本赤十字九州国際看護大学の喜多悦子さんが、ユニセフ・アフガン事務所の初代保健栄養担当官として現地で保健医療活動をしてきた体験をふまえて基調報告を行った。喜多さんは「民主的ですべての人びとの人権が尊重される、安全で生活の幅がある自由な社会をつくるためには伝統や習慣を変える勇気も必要」とし、それは現地の人の手で行わなければならないと、支援のあり方を提言した。続いて、アフガニスタンから来日した3人の女性が基調講演を行った。

 アフガニスタン暫定評議会において女性大臣を務めた後、移行政権の人権委員会委員長に就任したシマ・サマルさんは、アフガニスタン復興への提言として5点を提示。1)カブール市内だけでなくすべての地域での平和維持軍の強化と、全国的な武装解除が不可欠、2)教育と社会サービスの整備が必要、3)女性の権利・人権について、男性にも教育を行うことが必要、4)女性や戦争に関わっていた人びとへの雇用機会の提供、5)女性が力を結集することで軍事化へ対抗し、平和を促し、人権の尊重を世界へ広げる、などを提起した。

 ジャミラ・ムジャへッドさんは「アフガニスタンの女性たちは自分の力で仕事をし、独立していきたいと考えているが、現実にはむずかしい」と語り、事実を声高に口にできない現実、女性への権利制限が続いている現実などを、ジャーナリストの視点から報告した。

 クドゥシア・マジャージャさんは、難民キャンプで行ってきた母子保健や医療活動、識字教育、女性の自立を手助けするための洋裁技術教育などについて報告。また、子どもたちへの教育が始まったが、学校施設・文房具などの不備・不足、教師の絶対数の不足と教師自身の経験不足・教育不足など多くの課題についてレポートした。

 午後からはアフガニスタンの女性3人と喜多さん、そして日本国際ボランティアセンター(JVC)アフガニスタン事務所代表の谷山博史さんを交えて、小宮山洋子参議院議員のコーディネートでパネルディスカッションが行われた。

 会場からは、日本在住のアフガニスタン女性が、女性が声を上げることのむずかしさなどについて語り、またピースウィンズジャパンの松信章子さんから「どういう立場でコミットするのか。日本からの支援金がどう使われているか、具体的に見ていく必要がある」といった意見が出された。民主党に対しては、ODA予算などの使われ方について十分監視し、国民に情報公開していく責務があるとの指摘があった。

 意見交換後、「アフガニスタン女性支援会議アピール案」が提示され、その内容についての検討がなされた。参加者からは、「ジェンダーの視点をもつ」といった一文を加えるべきではないか、(アピール文に列挙された項目は)誰がどう進めるかが書かれていない、などの指摘も出された。

 議論に踏まえてアピール文が採択され、岡崎トミ子参議院議員が閉会挨拶。「シマ・サマルさんがおっしゃっていた平和と正義への取組みに感銘を受けた。これは日本社会でも取り組まなくてはならない課題だ」として、アフガニスタンの女性たちと連帯し、党としてさらに継続した取り組みを行うことを表明した。
記事を印刷する