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2002/12/02
【衆院予算委】前原議員、日朝交渉とりまく諸問題を追及


 衆議院予算委員会で行われた2日の集中審議で、民主党の海江田万里議員の関連質問に立った前原誠司議員は、日朝国交正常化交渉に臨む姿勢をめぐって政府を追及した。

 前原議員はまず、日本人拉致に対する金正日総書記の犯罪責任をめぐって質問。9月の日朝首脳会談において金総書記が、拉致は「軍の一部の盲動主義、英雄主義」によるものだとし、自らは関知していなかったと発言したことについて、「そんなことはありえない。これを信用するのか」と質した。これに対して小泉首相は、「今後の交渉の中で解明していく問題だ。現時点で直接答えることは避けたい」と答弁。前原議員は、交渉においてしっかり真偽を確かめるよう要求した。

 続いて前原議員は、拉致問題と核開発問題以外にも解明すべき重要な問題が残されているとし、昨年12月に奄美大島沖で沈没した工作船の問題、および昨年5月に金正男氏(金総書記の長男)と思われる人物が成田から北京へ強制送還された問題について質問。工作船問題については、引き揚げた船内から見つかった携帯電話の通話先記録から広域暴力団との接触が判明したと言われているが事実か、と質した。しかし谷垣国家公安委員長は、「まだはっきりした材料は持っていない」として明言を避けた。

 金正男氏入国問題では、外交官まで付き添わせて強制送還させたことからもこの人物が金正男氏だと分かっているのではないか、として確認を求めたが、森山法相は「本人に質したが確認できなかった」などという答弁を繰り返した。前原議員は強く抗議し、委員会はしばし中断したが、政府がこの人物についての見解を理事会に提出することを約束し、質疑が再開された。前原議員は、北朝鮮と日本の暴力団が覚醒剤取引で接点を持っているという疑惑を示し、改めて両問題の徹底捜査を求めた。

 さらに前原議員は、朝銀の破綻処理問題についても追及。関東甲信越地方の破綻朝銀の受け皿となるハナ信組の設立が年内にも認められれば、朝銀破綻の処理に総じて1兆4000億円もの公的資金が投入されることになると指摘し、計画的破綻や不正な本国送金の疑惑が浮上している中で、設立をそのまま認可するのか、と迫った。しかし小泉首相は「全体を考えながら判断したい」などとあいまいな答弁に終始し、竹中金融・経済財政担当相も「朝銀も国内の金融機関だ」などと述べた。

 前原議員は最後に、拉致問題だけではなく、核開発問題、覚醒剤取引疑惑、朝銀破綻問題などをトータルに解明していかなければ対北朝鮮対策を誤ると指摘し、質問を終えた。
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