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2002/12/09
衆院憲法調査会、福岡で地方公聴会開く




 衆議院憲法調査会は9日、福岡市において6回目の地方公聴会を開催した。11月の憲法調査会中間報告の発表以降、初の開催となった本公聴会では、米国によるイラク攻撃準備が進み、日本政府がイージス艦の中東派遣を決定しようとしている情勢の下で、改めて憲法9条第1項、2項の意義をめぐる活発な議論が行われた。民主党からは、同調査会の仙谷由人会長代理、大出彰幹事が出席した。
 
 公聴会ではまず、地方公務員の日下部恭久氏、弁護士の後藤好成氏、会社員の西座聖樹氏、元九州産業大学教授の林力氏、主婦の宮崎優子氏、福岡大学名誉教授の石村善治氏の6名が意見陳述を行った。陳述では、「自衛のための戦争という論理は許されない」(日下部氏)、「9条の理念を21世紀の世界の趨勢にすべき」(後藤氏)、「武力の行使は憎しみを生む」(宮崎氏)など、現行の憲法9条を守る観点から、米国に追随する小泉政権の動向に懸念を表明する意見が相次いだ。
 
 意見陳述者への質疑で大出議員は、「戦争とは、最悪の環境問題であり、人権問題であり、女性差別であり、また公共事業でもある」として、戦争による国家間問題の解決を認めるべきではないとする立場を明らかにした上で、「戦後、日本の主権はしっかり確立されてきたか」と質問。後藤氏は、「アメリカへの追従的な態度が多い。しっかり確立しないと、安保条約でアメリカの戦争に巻き込まれる」と語り、宮崎氏は「イラクに対するアメリカの戦争でも米軍が日本の基地から出て行く。同盟国だと言うが、政府は9条の理念をこそきちっと主張すべきだ」と訴えた。石村氏も「法理論としては、安保条約は憲法違反の条約だ」と指摘した。
 
 また大出議員は、米国による原爆投下の誤りをはっきり問わないできたことが、今日のブッシュ政権の先制核攻撃戦略などを認めてしまうことにつながっているのではないか、と問題提起。西座氏、林氏は「(日本として)核自体をなくす努力をすべきだ」とし、石村氏は「かつて加害者であったことの反省も持つべき」と述べた。
 
 最後に大出議員は、「国内で人を殺せば殺人罪だが、国外に出て行って殺せば英雄視されるといった現実が今もある。こうした論理を永久になくしていかねばならない」と訴えて、質疑を結んだ。
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