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2003/05/09
【参院本会議】高嶋議員、個人情報保護法政府案の危険性を指摘


参議院本会議で9日、政府提出の個人情報保護関連5法案に関する趣旨説明と質疑が行われ、民主党・新緑風会を代表して高嶋良充議員が質問に立った。
 
 高嶋議員は廃案となった旧法案について、審議前から欠陥を認め、修正に言及した小泉首相に対し、「旧法案のどこに欠陥があったのか、どう修正を指示したか、本法案は国民、消費者、報道機関の批判に十分に応えうると考えるか」として首相に答弁を求めた。
 
 小泉首相は「旧法案は表現の自由と個人情報の保護の両立をはかる趣旨で立案したものだが、各方面の不安・懸念が払拭されなかったことから、今回、その趣旨をいっそう明確にする修正を施し、再提出した。旧法案の不安・懸念は解消されたものと思われる」などとした。
 
 高嶋議員は修正された政府案について、「抜本的な見直しとは程遠く、依然として国民の表現の自由やメディアの報道を法的に規制する意図をもった欠陥法案だ」と断じた。とりわけ、民間に広く義務規定の網をかけたため、衆院でカーナビ論争が展開されたように、規制過剰だとの批判がある反面、債務者リストの売買や迷惑電話防止、医療分野等には不十分な点があることを具体的に指摘。また、金融や医療などのセンシティブな情報を扱う分野には、個別法を早急に制定する必要性があることも提起した。
 
 続いて高嶋議員は、思想、信条、宗教、人種、民族、犯罪歴、社会的差別の原因となる社会的身分などのセンシティブ情報は、原則として行政機関の取扱いを禁止すべきだと主張。同時に、行政が利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、提供しようとすることに関しては、一定の制限を設け、歯止めをかけるべきだとした。さらに 高嶋議員は、目的外利用の是非の判断は、所管官庁ではなく、有識者からなる情報公開・個人情報保護審査会を設置して意見を求めることが必要だとする認識を示した。
 
 防衛庁が自衛官の募集のため、住民基本台帳の4項目に加えて家庭環境や健康状態などの情報を地方自治体に提供させた問題をめぐって高嶋議員は、閲覧に限った住基法違反だと指摘し、片山総務相の見解を求めた。さらに防衛庁に対し、プライバシーに関する情報収集の禁止を求め、集めたデータは即刻廃棄すべきと、石破防衛庁長官に要請した。
 
 片山総務相は「自衛官募集については自衛隊法の規定に基づいて行った。住基法の問題ではなく自衛隊法の問題。まったく違法ではない」などと答弁。石破防衛庁長官は「法令の規定に基づき、地方公共団体から適齢者情報の提供を受けるなどして、自衛官の募集活動を行った」などとした上で、今後収集する情報の範囲は4情報に限定するとする明言。ただし、集めた情報の廃棄に関する答弁はなかった。
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