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2003/05/13
【参院個人情報特】内藤議員、抜け穴だらけの政府案を批


参議院の個人情報の保護に関する特別委員会において13日、政府提出の個人情報保護関連5法案に関する質疑が行われ、民主党・新緑風会の内藤正光議員が質問に立った。
 
 内藤議員は冒頭、住民基本台帳法そのものについて質したいとし、住基ネットの導入・本格稼動に際し、国民の間では自分の情報がひとり歩きすることへの不安が募っているが、それ以前に基本4情報は原則公開であり、既にすべての人の知りうる状況にある点を指摘。「基本4情報プラス個人の住民票・転居状況がわかる戸籍といった個人情報をそもそもなぜ原則公開するのか」と質した。片山総務相は、住民基本台帳は国民の居住関係を公証する制度であり、国民の居住情報は国・地方公共団体の基礎を担うものだと答弁。「そうしたなかで基本的な情報は公開にしている」などとした。
 
 これに対して内藤議員は、プライバシー意識が高まるなか、本人確認も求めないまま基本4情報を原則公開としている点に疑問を呈し、「居住関係の公証であるならば、本人が求め、手続き発行を求めればいいことだ」と指弾した。内藤議員は、閲覧代行がビジネスとなり、大手通信教育会社、幼児教育関連業者等、商用目的が閲覧の大多数を占めている現状を指摘。同時に閲覧拒否が可能としながらも閲覧請求権の前では実際には不可能で、さらに「IDの提示を求めてはならない」旨の総務省通達が出ている点も問題にした。こうした点を踏まえて内藤議員は「電話帳への電話番号の掲載拒否にあるように、何らかの手立てを講じ、大量閲覧を野放しにしない対応が必要」と提起した。閲覧者のID確認、求めに応じての閲覧者のリスト公開等の導入を提案、自分の情報の開示・非開示を自分自身がコントロールできる権利を盛り込むべきとする見方も示した。
 
 続いて内藤議員は、個人情報取扱い事業者の基準として、5000件以上の情報を保有し業務に活用しているものとした点について、「4000件の情報を保有している事業者が、個人のプライバシー権を侵した場合、この法で個人を守ることができるのか」と質問。細田IT担当相はどこかの数値で裾切りする必要があって設定した数値だとの認識を示した。その答弁を受けて内藤議員は、社会的責任を果たしている企業がこの法律によって不便を被り、一方、いわゆる悪意の企業や個人が分社化することによって取扱い情報を5000件以下に抑えることで法の網をくぐるといった悪用も起きかねないと分析。例えば3000件の情報をもって悪用の限りをつくす事業者に対しては、この法案では効力がなく、民法で対応するしかない点にも言及した。
 
 内藤議員はまた、法案17条にある「適正な取得」に関する条文に「偽りその他不正な手段により個人情報を取得してはならない」としている点について、原則が述べられていないため何を不正としているか、いかなる取得を禁止しているのかが不明だと指摘した。
 
 目的外利用については本人同意を必要とし、一方、利用目的の変更については法案18条3項において本人同意を必要とせず、通知・公表のみを求めている点についても内藤議員は問題視した。「目的外利用も利用変更も、利用される側にとっては同じこと」とする見解を内藤議員は示し、本来は同様の保護・管理が必要だと指摘した。
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