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2003/05/14
【衆院事態特】与野党4党修正案を可決


衆議院武力攻撃事態への対処に関する特別委員会で14日、民主党と与党3党が共同で提出した武力攻撃事態対処3法案修正案の趣旨説明、締めくくり質疑、討論・採決が行われ、修正案および修正部分を除く政府原案が賛成多数で可決された。独自法案を提出していた自由党も賛成にまわった。また、国民保護法制整備などを盛り込んだ附帯決議も議決された。

 委員会の冒頭、与党修正案および民主党修正案が撤回された。自民党の久間章生議員による4党修正案の趣旨説明に続いて、民主党の玄葉光一郎議員が質疑に立った。

 玄葉議員はまず、「民主党として明確な対案を示し、修正案で合意できたことは、率直に言って嬉しい」と述べるとともに、「安全保障論議を神学論争から戦略論争にしていこうと努力してきた者として、感慨がある」と語った。

 法案に関連して玄葉議員は、北朝鮮問題に対する政府の方針について質問。とりわけ、NPT脱退を表明し、核燃料の再処理を完了させているとも言われる北朝鮮の動向について、「日朝平壌宣言に明確に違反するものではないか」と質した。しかし小泉首相は、「宣言が破綻しているという議論もあるが、はっきり言えないところがむずかしい」などとあいまいにしか答えられなかった。

 修正案については、まず附則の「緊急事態へのより迅速かつ的確な対処に資する組織」の設置について、行政改革に逆行するという議論があることを取り上げ、「常に危機管理に気を配る省庁・大臣が必要だ。危機管理に関連する既存組織を併せてつくれば行革にも反しない」として、改めて与党の見解を質した。小泉首相は「危機管理の中核組織をどう持つべきか、よく検討したい」と答えた。

 また玄葉議員は、基本法制定、国民権利に関わる第14、15、16条の施行期日などについて、改めて与党の見解を確認した。基本法制定について小泉首相は、「基本的法制の必要に対する認識は十分共有する。政府として真剣に検討する」と答弁。施行期日については修正案提案者の久間議員が「国民保護法制の整備に合わせてという気持ちだ」と答えた。

 討論では、民主党から大谷信盛議員が発言に立ち、与党との協議を通じて修正を勝ち取った諸点(基本的人権の尊重、国会の議決による対処措置の終了、国民への情報提供、国民保護法制整備までの一部措置の施行凍結、事態の認定の前提となった事実の明記など)を列挙しながら、「多くの国民の理解を得られる内容とすることができた」と自信を持って述べ、修正案への賛成を呼びかけた。

【附帯決議】

「安全保障会議設置法の一部を改正する法律案」、「武力攻撃事態における我が
国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案」及び「自衛隊
法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案」に対する
付帯決議

平成十五年五月十四日
衆議院武力攻撃事態への対処に関する特別委員会


政府は、標記の三法の施行に当たって次の諸点に留意し、その運用に遺憾なき
を期すべきである。

一、指定公共機関の指定に当たっては、報道・表現の自由を侵すようなことが
  あってはならないこと。

二、国民の保護のための法制の整備は、武力攻撃事態対処法の施行の日から一
  年以内を目標として実施すること。
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