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2003/05/16
川辺川訴訟、控訴審で農民勝訴 菅代表が上告断念申し入れ


川辺川ダムから農業用水を取水する国営土地改良事業の事実上の中止を求めた川辺川利水訴訟の控訴審判決が16日、福岡高裁で出され、逆転で原告側農民が勝訴した。
 
 判決を受けて同日、農水省前で開かれた集会に駆けつけた民主党の菅直人代表は「国土交通省、農水省の責任を告発してきた農民の皆さんの意見を、高裁は全面的に受け入れた。ダムの目的は利水、と偽の書類まで作って同意を得たことが、判決で明らかになった。諫早の干拓事業と並ぶ無駄な川辺川ダム事業を中止させる大きなきっかけにしたい。今回の判決を受けて上告するかどうか、総理の判断が問われる。亀井善之農水相、小泉首相に上告断念を求めたい。この大きな判決を手掛かりに、事業の中止のために頑張り合うことを表明したい」と、激励と決意を表明した。
 
 また、この後菅代表は、首相官邸に赴き、小泉首相あてに上告断念と、土地改良事業の中止を申し入れた。福田官房長官は「よく判決を検討して、慎重に判断し回答する」と答えた。
 
 同訴訟は事業計画の変更に当たり、土地改良法が定める対象農家の3分の2以上の同意があったかが最大の争点だった。高裁判決では、3分の2以上の同意はなかったとの事実判断のうえ、原告側の勝訴とした。

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川辺川利水訴訟の上告を断念するよう求める申入書

 本日、福岡高等裁判所において、国営川辺川土地改良事業に対する判決が言
い渡された。判決では、農業用用排水事業と区画整理事業につき、対象農家の
三分の二以上の同意が得られておらず、事業は違法であるとしている。また、
対象農家以外の署名捺印や、重複署名捺印、対象農家の同意を得ていない例な
どについても指摘されており、ずさんな状態で事業を進めてきた国の責任は極
めて重大である。このような事実が認定された以上、国が上告を行う適当な理
由は見あたらない。

 よって民主党は、内閣総理大臣に対し、以下の事項について申し入れを行う
ものである。


一、川辺川利水訴訟について、国は福岡高裁判決を受け入れ、上告を行わない
こと。
一、国営川辺川土地改良事業については、福岡高裁判決の結果を踏まえ中止す
ること。


平成十五年五月十六日
民主党代表
菅 直人

内閣総理大臣
小泉 純一郎 殿
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