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2003/05/20
【参院事態特】齋藤議員、基本的人権保障の担保を求める


参議院武力攻撃事態対処に関する特別委員会で20日、民主党の直嶋正行議員に続き、齋藤勁議員が関連質疑を行った。
 
 齋藤議員は冒頭、有事関連3法案について、国民の生命・財産を守るためものであり、あくまでもアジアの国々に危険を感じさせるものであってはならないとする考えを示し、有事になる以前に外交努力を重ねる必要性を指摘。有事関連3法案に対する小泉首相の認識を質した。
 
 小泉首相は「他国を攻撃するものではなく、他国へ脅威を与えるためのものでもない」と主張。「他国から攻撃を受けた場合や日本国民に危険が及んだ場合に、どんな法的整備が必要かとの考えに基づいた法制であり、必要最小限度の防衛力で専守防衛に徹する」などとした上で、日本は軍事大国になるのではないかとの諸外国の懸念は当たらないと述べた。
 
 齋藤議員は民主党案の考えを大幅に盛り込む形で修正合意に至ったにもかかわらず、「自分が思うとおりに修正された」などとした小泉首相の答弁を取り上げ、「提案者として如何なものか。そう思うならば最初からその趣旨に則った法案を出すべき」と指弾した。
 
 参議院での審議の姿勢をめぐって齋藤議員は、政府案提出者と修正案提出者の民主党の前原誠司衆議院議員に「修正論議するだけで精一杯。このまま、参議院を通過させてほしい、とするか」とし、考えを質した。前原議員はまず、「政府案はおかしいと思っていた」などとした小泉首相の答弁を改めて批判した上で、「修正案は自信をもって参議院に送付したが、100%完全とはいえない」とし、参議院での議論の必要性に改めて言及した。
 
 齋藤議員は法案には大きな二つの問題があったとして、基本的人権保障のあいまいさ、総理に権限と権力が集中することへの懸念、の2点を挙げた。そのうえで齋藤議員は、指定公共機関について取り上げ、自主性・公平性・中立性に基づき活動するとしている日本赤十字社が指定公共機関に加えられたことを問題視し、削除の必要性を提議。これに対し福田官房長官は「日本赤十字社の自主性・公平性・中立性に影響を及ぼすものではない」などとした。
 
 齋藤議員はまた、日本民間放送連盟が指定公共機関に指定される懸念が完全に払拭されていないことを問題視し、政府の放送内容への介入を回避するため、理念としての表現の自由、報道の自由の尊重にとどまらず、実態として保障するシステムの必要性を提示した。
 
 齋藤議員は続いて、専守防衛をめぐる認識をめぐって小泉首相、石破防衛庁長官に対し、「攻撃があった時どうするかという狭義の考えに則って解釈・対応すべきであり、そのため従来は攻撃的な兵器をもたずに対応してきたはず」とし、「おそれ」への対処は専守防衛から逸脱するとの考えを改めて示した。
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