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2003/05/21
【衆院政倫審】永田議員、“黒い癒着”の松浪議員に辞職迫る


衆議院政治倫理審査会で21日、保守新党の松浪健四郎議員が暴力団関係者から秘書給与の肩代わりを受けるなどしていた問題について公開審査が行われた。民主党からは永田寿康議員が質疑に立ち、暴力団関係者だという認識がなかったなどと弁解を繰り返す松浪議員に対して、議員辞職を強く求めた。

 審査会の冒頭、松浪議員による弁明が行われた。弁明の中で松浪議員は、問題の事実関係について、
・公共事業にまつわる談合事件で後に逮捕されたC氏が所属していた建設会社A社から1997〜8年にかけて秘書給与を負担してもらっていた。その過程で、C氏が暴力団関係者らしいという話は聞いたが、確認する手段がなかった。
・98年3月、C氏と会って大阪府警からの事情聴取への対応を相談されたので、担当の刑事に電話をして状況を聞いた。「捜査状況の照会」ではない。C氏には「早く(府警に)行った方がいい」と促した。
・その後、政治資金規正法を理解するにつれ、給与の肩代わり分は寄付として扱うべきであり、政治資金収支報告書を修正すべきだと思うようになったが、(肩代わりはなかったことにするという)C氏との約束を破ることになるため、できずにきた。
 などと説明。これらを「多忙な国会活動や選挙活動と己の優柔不断さ」によるものとして「深く反省」すると述べた。同時に、本件以外に暴力団関係者と一切関係を持ったことはないとし、この問題を「挽回」するために議員として活動を続ける意向を明らかにした。
 
 永田議員は冒頭、今回の問題に対する保守新党内での松浪議員への処分が役職停止にとどまったことを取り上げ、「2000年の松浪議員による水かけ事件(衆院本会議場で野党席に向けてコップの水を撒きかけた事件)の時も、当時の保守党は何も党内処分を行わなかった。身内に甘い当時からの体質がそのまま受け継がれている」と批判し、質問に入った。
 
 永田議員は、開口一番、「反省すると言うが、言葉だけでは国民は納得しない。態度で示すなら、(国会議員を)辞めるべきだ」と追及。しかし松浪議員は、「選挙で支持してくれた有権者のことを考えて、次の選挙で信を問う」などと居直った。永田議員は、そもそも前回の総選挙で暴力団関係者との関係を隠してたたかったこと自体が問題だと批判し、辞職した上でもう一度信を問うべきだと強く迫った。
 
 また永田議員は、「本件以外に暴力団関係者と一切関係を持ったことはない」という松浪議員の弁明に対して、同議員が現役の暴力団組員から個人および企業として献金を受けている問題などを指摘し、追及。松浪議員は、「まったく暴力団関係者とは知らなかった」「多くの人たちと接するので、結果的に関係があったということはある。最初から分かっていてやれば、政治家として適格性を欠くことになるが‥‥」などと倫理感の欠落した弁解に終始し、同議員をめぐる“黒い癒着”の底深さが明らかになった。
 
 永田議員は、今回の秘書給与肩代わり問題以外の未解明の問題についても引き続き追及していく意向を表明して、質疑を終えた。
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