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2006/05/12
【参院本会議】京都議定書の実現と今後の対策につき質疑、谷議員


 12日、参議院本会議において谷博之参院議員が質問に立ち、政府提出の地球温暖化対策推進法改正案に対して、京都議定書を実現やエネルギー対策など観点から質疑を行った。本法案は、二酸化炭素削減に関する算定割当量の定義を追加、国の責務や目標達成計画事項の追加、様々な削減手法に応じて算定割当量の取得・保有・移転を行うための算定割当量口座簿の開設などを定めるもの。

 谷議員は冒頭、公務に復帰した小池環境大臣の健康への忠告を述べた後、質問に入った。谷議員は、日本は京都議定書の議長国として6パーセント削減という約束を果すべきなのに、現状では達成が困難だと指摘した。また、削減のための国内対策を加速するためには目標達成計画の見直しが重要だとし、さらに国内で達成できない差分を以前より1.6パーセントに決めている理由を質した。これらに対して環境大臣は、約束達成が容易でないことを認めつつ、省エネ・新エネ・国民運動などで達成を目指すとし、目標達成計画の見直しは必要に応じて行い、国内対策の実施に全力を挙げると答弁した。

 谷議員は、環境と経済の両立の観点から経済産業省と環境省の連携の強化に触れつつ、環境税と国内排出量取引制度の早期導入を訴えたが、二階経済産業大臣も環境大臣も正面からの答弁は行わなかった。

 谷議員は、国際排出量取引・共同実施・クリーン開発メカニズムという京都メカニズムの活用方針、国際排出量取引の活用には慎重であるべきこと、クリーン開発メカニズムが先進国の総排出枠を増加させる恐れがあることについて質した。環境大臣は、京都メカニズムを活用するということ以上には踏み込まず、クリーン開発メカニズムの利用は国際ルールに則って行うと答えた。

 谷議員は、外国から取得する活用枠1.6パーセントにかかる費用および外国において自然環境や地域社会を破壊するような事業から活用枠を取得する恐れ、各省庁の電力購入における入札制導入による安価で二酸化炭素の多い電力の購入、米国を議定書に復帰させる努力の重要性、そして今後の取り組みについて質問した。環境大臣は、活用枠の取得費は不確定要素が多く現状では答えられないとしつつ、入札制の導入結果については一般論で答え、米国の議定書への復帰は重要であるとの認識を示した。また、今後は米国や中国・インドなどが参加する実効性ある枠組みを作っていきたいと答弁した。さらに経済産業大臣は、活用枠取得については政府がガイドラインを作成し、国際ルールを踏まえていくと答弁した。

 谷議員はまた、地球温暖化対策とエネルギー政策は不可分の関係にあることを指摘しつつ、民主党のエネルギー政策では再生可能エネルギーの開発・導入を積極的に推進することなどを提示し、政府の見解を質した。経済産業大臣は、民主党のエネルギー政策は傾聴に値するとしつつ、エネルギーの安定確保は国家の使命であるとし、さらに省エネについての国民の理解が必要であると答弁した。
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