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2003/06/02
労働基準法改正案「解雇ルール」で法案修正を与野党合意
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「解雇ルール」を法制化することなどを盛り込んだ政府の労働基準法改正案について、民主党や労働団体、労働弁護団などは「解雇自由を前面に押し出し、解雇が不当であることの立証責任を従来とは逆転させるもの」などと批判し、法案の抜本修正を求めてきたが、与党側が2日、民主党などの主張に大幅に歩み寄り、与野党共同で修正を行うことで合意に達した。
現行法では、期間の定めのない労働契約について、民法上は両当事者がいつでも解約を申し入れることができると規定し、労働基準法も労災や産前産後の休業期間中を除き、解雇を制限する規定を置いていない。しかし、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる」とする最高裁判決が1975年に出されて以後、この判例をもとに、使用者側が解雇権濫用でないことを証明できなければ解雇を無効とする考え方が確立してきた。
今回の法改正は、「解雇をめぐる紛争を防止し、その解決に資するため、使用者がその有する解雇権を濫用した場合には無効となることを内容とする規定の整備を行う」(厚生労働省)のが目的だったが、実際に提出された政府案は、「使用者は(中略)労働者を解雇することができる」という文言が前面に掲げられるなど、この目的に逆行する内容となっていた。与党3党と民主党が2日に合意した修正案では、この文言を削除している。
今回の法改正のもう一つの柱である有期労働契約の期間の上限1年(一部3年)を3年(一部5年)に延長する問題についても、民主党などは、「転職の機会や職業選択の自由が狭められる」と反対してきたが、与党と民主党の協議により、上限が3年となる有期労働契約を結んだ労働者は1年経過後いつでも退職できること、法改正から3年後に再検討することを付則に盛り込むことで合意した。
■労働基準法の一部を改正する法律案に対する修正案 対照条文
◎与野党修正案
(契約期間等)
第十四条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業
の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のい
ずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間につ
いて締結してはならない。
一・二 (略)
2 (略)
3 (略)
(解雇)
第十八条の二 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上
相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとし
て、無効とする。
附則
第 条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、
この法律による改正後の労働基準法第十四条の規定について、そ
の施行の状況を勘案しつつ検討を加え、その結果に基づいて必要
な措置を講ずるものとする。
第百三十七条 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必
要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限
る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に該当する労働者
を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成 年法律
第 号)附則第 条に規定する措置が講じられるまでの間、民法
第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日
から一年を経過した日後においては、その使用者に申し出ること
により、いつでも退職することができる。
◎民主党修正案
(契約期間等)
第十四条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業
の完了に必要な期間を定めるもののほかは、一年(次の各号のい
ずれかに該当する労働契約にあつては、三年)を超える期間につ
いて締結してはならない。【現行通り】
一・二 (略・政府原案どおり)
2 (略・政府原案どおり)
3 (略・政府原案どおり)
(解雇)
第十八条の二 使用者は、この法律又は他の法律の規定によりその
使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合以外の
場合であつても、労働者を解雇することにつき客観的に合理的な
理由があり、かつ、当該解雇が社会通念上相当と認められるもの
であるときでなければ、労働者を解雇することができない。
(就業規則で定める解雇事由によらない解雇の制限)
第九十条の二 使用者は、就業規則で定める解雇の事由に該当する
事実がなければ、労働者を解雇することができない。
◎政府原案
(契約期間等)
第十四条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業
の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のい
ずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間につ
いて締結してはならない。
一・二 (略)
2 (略)
3 (略)
(解雇)
第十八条の二 使用者は、この法律又は他の法律の規定によりその
使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合を除
き、労働者を解雇することができる。ただし、その解雇が、客観
的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない
場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
○現行
(契約期間)
第十四条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業
の完了に必要な期間を定めるもののほかは、一年(次の各号のい
ずれかに該当する労働契約にあつては、三年)を超える期間につ
いて締結してはならない。
一〜三
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