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2005/01/25
不真面目な答弁は国会審議の信頼性を失う 江田議員が代表質問で


 25日、参議院でも代表質問が始まり、民主党・新緑風会を代表して質問に立った江田五月参議院議員会長は、内政・外交の諸課題について小泉首相の見解を具体的に質し、具体的な答弁を求めたが、首相は答弁のほとんどを答弁書の棒読みに終始した。

 江田議員は冒頭、参議院での決算審議について、それを重視し国の運営の透明性を高めることへ協力を求めた。首相も「決算審査の充実等にできる限り協力してまいりたい」などと応じた。

 江田議員は更に、昨年相次いだ自然災害への対応について、被災者生活再建支援法改正案を廃案にした政府・与党の姿勢を厳しく批判。「国民の多くは、個人住宅の再建にも補助をすることを求めている」として、民主党などによる同法改正案への同意を求めた。首相は、「様々な角度から、なお議論を深める必要がある」などと、誠意の感じられない答弁を昨日に引き続いて繰り返した。

 いわゆる政治とカネの問題についても江田議員は、旧橋本派への1億円ヤミ献金事件の真相究明に積極的でないこと、迂回献金を禁止する法改正に賛成しないことについて、「もう少しまともな政治文化を」とし、それぞれ首相の見解を問うた。首相はこれに対して、「国会において決めるべき問題」「各党・各会派で十分ご議論を」などと、これも従来から全く変わりのない棒読みの繰り返しに終始した。

 またイラク戦争の大義の問題について江田議員は、大量破壊兵器がついに発見できなかったことを挙げて、「フセイン大統領は悪い」としつつ「そのことと、先制攻撃で戦争を仕掛けることとは違う」と厳しく指摘。「戦争の大義をどう説明するのか」、首相を質した。首相は、イラクは「最後まで国際社会の真摯な努力に応えようとしなかった」などと、これも従来の答弁を繰り返した。

 江田議員は、対人地雷条約、京都議定書、国際刑事裁判所条約の問題について、わが国が米国を積極的に説得していくべきとの考えを示したが、首相はいずれについても「様々な機会を通じて意見交換を行っている」などとして、積極的に取り組む姿勢を見せなかった。

 また江田議員は、中国残留孤児となり、その後永住帰国した皆さんが育ての親を訪ねようとすると、その離日期間中、生活保護が給付されないことについての訴訟が起きていることを指摘し、「政治の力で救済を」と呼びかけた。首相は、「各種支援策を講じている」「きめ細かな支援に努める」などとした。

 年金改革について江田議員は、「今の年金制度が本当に100年安心」だと断言できるかや、消費税の活用などについて質した。また議員年金制度についても、「早急に一元化を実現して議員年金を廃止すること」を目指すべきとして、その決意を質した。首相は、「持続可能な年金制度に見直すことができた」などと決めつけに終始。消費税の活用については「当然検討の対象になる」とした。議員年金については「各党各会派の間で十分議論を」と他人事のような答え。

 郵政改革について江田議員は、施政方針演説で首相が明言した四分社化、非公務員化、4月に法案提出などが達成されなかった場合、居直るか、衆議院を解散するか、退陣するか、選択肢を示して首相に迫ったのに対し首相は、「与党の協力を得て成立できると思っている」などとした。

 江田議員は最後に、改めて小泉首相に対し「あなたの政治手法のせいで政党政治は信用を失い、あなたの不真面目な答弁のせいで、国会審議もまた信頼を失った」と厳しく指摘。「あなたには今、退陣の時期が刻々と迫ってきている」として、小泉内閣の退陣の際には、民主党が政権を担う準備ができていることを力強く宣言し、質問を締めくくった。
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