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2003/06/15
菅代表、山形県酒田市で第4回の車座対話集会




民主党の菅直人代表は14、15の両日、山形県酒田市を訪れ、庄内地区の稲作経営者たちや飛島の島民と膝を交えての意見交換を行った。今回の取り組みは、菅代表が2月から開始した車座対話集会による全国行脚の第4弾。現地では、地元・山形4区選出の斎藤淳衆議院議員が同行した。

 14日夕刻に酒田入りした菅代表は、同夜、市内松山町の農家宅で庄内地区の稲作経営者たちと対話集会を行った。集会には、地区内の各市町村から約20名の生産者が参加し、「米価下落と減反で収入は減り、農地の維持もままならない」「とても子どもに後を継げと言えない」など、深刻な現状を訴えた。また、「農業を保護するのか、市場任せにするのか、国の基本的な考え方がはっきりしない」「農業は農家だけの問題ではない。地域住民、さらには国民全体の問題として考えるべき」など、政府の農業政策、とりわけ減反に従うことと引き替えに経営安定対策金を支払うといった政府の食糧法改正案に対する厳しい意見が相次いだ。

 菅代表は、農業を持続的に経営できる基盤をつくるために直接支払による所得補償を導入し、その上で農産物価格は市場に任せるという民主党の農業政策の基本的考え方を説明。国の強制的減反政策は撤廃すべきだとした。加えて、従来の農政にけるムダをなくすこと、都市生活者の帰農志向の高まりなど“生き方としての農業”といった視点にも積極的に対応していくこと、などを提案。「日本の農業は、大きな仕組みの組み替えをやれば非常にうまくいく可能性を持っている」と呼びかけた。

 参加者からは民主党の政策への共感とともに、国会においてもっと農業問題の議論を積極的にやってほしい、といった要望も出された。これに対して菅代表は、「いつか必ず党首討論で小泉首相と農業議論を戦わせる」と表明し、拍手を浴びた。

 翌15日、和嶋未希県議、関井美喜男市議、堀孝治市議が加わった一行は、酒田港から1時間半フェリーに乗って、飛島へ渡った。飛島は、鳥海国定公園に含まれる、周囲10km、人口300余名の小さな島。一行はまず、東部海岸で漂着ゴミの現状を視察した。希少な野鳥や植物に彩られた美しい島が、ハングル文字の書かれたプラスチック容器やナイロンの魚網など大量のゴミで汚されている深刻な状況を目の当たりにした菅代表は、「国際的な対策が必要だ」と感想を語った。

 島内の旅館で行われた対話集会には、約15名の島民が参加。離島振興のための具体策をめぐって議論が交わされた。とりわけ、欠航が頻繁で島経済の二本柱である漁業と観光にとっても大きな桎梏となっている定期船の大型化、携帯電話通話エリアの拡大などが切実な問題として提起された。菅代表は、それらの問題に斎藤代議士はじめ地元県議、市議が協力して対応することを約束。同時に、島の振興を島単独ではなく本土とのリンクの中で考えるべきこと、本土で働いた後にリタイアして“やっぱり島がいい”と戻ってくる出身者などを、定住者を増やす観点から積極的に受け入れていくといった観点も必要であること、などを提起した。

 その後、菅代表一行は、3年前に東京の国立病院を辞めて島内唯一の診療所に赴任してきた杉山誠医師を訪ね、僻地医療の現状と課題について意見交換。夕刻、島を後にした。
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