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2005/02/03
【衆院予算委】横路・石田・中塚議員、雇用・経済問題など質す


 衆議院予算委員会は3日、昨日に引き続いて基本的質疑を行い、民主党・無所属クラブからは午前中、横路孝弘『次の内閣』ネクスト厚生労働大臣、石田勝之常任幹事、中塚一宏衆議院議員が質問に立った。

 最初に質問に立った横路議員は、小泉首相の施政方針演説において、国民が様々な不安を持っているのかどうか、日本の社会の状況が安定しているのかどうかなどに触れていないのではないかとして、「国民の生活に関心がないのか、知らないふりをしているのではないか」と質した。小泉首相は「総花的と批判されるくらい色々な問題に触れている」などとして、直接答えなかった。

 次に横路議員は、長時間労働・サービス残業などの実態を次々に明らかにして、先進国でも断然トップの時間外労働に対し「思い切って大幅に制限を」と、抜本的な対策をとるよう迫った。首相は労働者の待遇改善について、「今後とも真剣に考えていきたい」などと答弁。横路議員は、少子化問題など社会全体の問題への影響にも言及し、「人の働き方自体を変えていかないと、なかなか解決しない」と指摘した。

 また、パート労働の問題にも触れた横路議員は、「同じ仕事をしているのだから同じ扱いをすべきというのは世界の流れ」だとして、首相に対して「積極的に是正する道をお考えいただきたい」と強く要請した。また、先の生活設計を立てる意味でも、長期的で安定している雇用の確保の重要性を横路議員は強調。増えている低所得者層への対策が急務であることも鋭く指摘した。

 横路議員は最後に、わが国が「所得格差が大きい国」になり、労働時間が非常に長い一方で、租税・社会保障負担は低いと指摘。しかし、国際競争力ランキング上位の国はこの逆で、こうした国が「人に投資」をしているとし、小泉首相に対して「国民の生活の状況にもっと目を向けて関心をもって、その是正のためにご努力いただきたい」と改めて要請して質問を締めくくった。

 続いて質問に立った石田議員は、最初に、小泉首相が画期的と自画自賛する道路公団改革に関して、道路公団からのファミリー企業への天下り、ファミリー企業の剰余金、公団職員住宅の実態を示し、改革の内実が伴っていないことを追及した。

 石田議員は、「総理は声高に改革を叫ぶだけで、国民に痛みを増しているだけ」として、道路公団からのファミリー企業へ天下りを「社長の数は確かに減ったが、代表取締役副社長、代表取締役常務、代表取締役相談役として同じ人が横滑りでなっているのは何故か」と質した。近藤日本道路公団総裁は「平成15年以降、公団からの天下りした人間はいない。役員の就任は株主総会、あるいは取締役会の権限。株主権限を行使する立場にない」として、質問には直接答えなかった。また、ファミリー企業の剰余金額の質問に近藤総裁は、「77社平均で14.5億円」と答えた。これを石田議員は「公団の赤字の上に築かれたもので、返還を求めるべき」と迫った。総裁は「利用者への還元と言うことで、さらに要請をお願いしている」と回答した。石田議員は、職員住宅に関しても職員数8300人に対して、保有住宅が5426戸、借上げが1583戸は余りに多過ぎるとして、さらなる削減、合理化努力を求めた。

 続いて、改革の優先順位について石田議員は、「郵政改革よりも、深刻な状況にある教育改革が優先されるべき」として、首相に見解を質した。首相は「教育は最重要だが、郵政は私が総理でないと取り組めない」と持論を展開した。石田議員は、義務教育費の国庫負担削減についても「教育は国の責任」として、中山文部科学相、麻生総務相にそれぞれ見解を質した。中山大臣は「義務教育費の国庫負担制度は、国の根幹、堅持していきたい」と答弁。麻生大臣は「中教審の答申は尊重されるべきと思う」と答弁した。

 石田議員はこのほか、少子化対策として、民主党の子育て支援策・児童相談所の機能充実策を示し、見解を求めた。

 石田議員に続いて質問に立った中塚一宏議員は、景気・経済問題を中心に質した。

 中塚議員は「なぜ景気の回復が実感できないのか」として、景気は上向きだとする政府の見方に反して国民にその実感が薄い背景について、「企業の経常利益は凄まじい勢いで回復しているが、雇用者の総収入は減りつづけている。それが景気回復を実感できない原因」と指摘。どう見るかの認識を質したのに対し小泉首相は、「業績を上げた企業は、できればもっと雇用者に配慮して、もっと給料も上げて欲しい」などと、国政を預かる首相の自覚を全く感じさせない答弁。中塚議員はそうした首相の答弁姿勢に苦言を呈し、「自立的な景気回復軌道とは違う」と断じた上で、輸出リード型の景気回復が内需に結びついていない実態を問題視し、「景気は失速している」「輸出が揺らいだだけで消費まで揺らぐというのが日本経済の実態だ」と指摘した。福井日銀総裁は経済の認識について、「日本経済の底力は次第に整ってきているが、本当に持続的な回復パスに乗るまで、デフレ脱却に確信が持てるまで、もう少し距離を残している」と述べた。

 昨年10月の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で日銀が2005年度CPIの政策委員の大勢見通しの中央値をプラス0・1%とした点について中塚議員は、「量的緩和解除の条件が整いつつあるのではないか」と指摘したのに対し総裁は、「まだ、かなり厳しく見ている。非常に厳密に見ている」と答弁。総裁はまた、「量的緩和政策の枠組みを堅持しながら、景気がより持続的な回復パスにしっかりと乗ること、同時に物価の面でデフレ脱却の確信が持てるよう見届けたい」とし、緩和継続の姿勢を示した。

 中塚議員はそうした状況下にあっては年金保険料や介護保険料の引き上げ等、国民負担が増える政策を強行する政府に対し、「これは今行うべき政策ではない」と指摘し、税の使い道の見直し、政治とカネの問題の解明こそが先行課題だとした。

 最後に中塚議員は、偽造キャッシュカードの問題を取り上げ、本来の被害者である預金者が守られると同時に、銀行の責任を問えるようにするなど、早急な法改正を政府に求めた。
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