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2005/02/03
【衆院予算委】政治とカネの問題など追及 佐々木・辻・生方・原口議員


 衆議院予算委員会では3日午後も、午前に引き続き基本的質疑が行われ、民主党・無所属クラブからは、佐々木秀典、辻惠、生方幸夫、原口一博各衆院議員が質問に立った。

 佐々木議員は質問の冒頭、私学助成に関して小泉首相が憲法89条を改正すべきだともとれる答弁をしたことを取り上げ、真意を質した。首相は「学者の中でも、私学助成は違憲だとする人がいる。憲法9条でも未だに自衛隊は違憲とする学者もいる。誰が読んでも素直に違憲ではないように読まれた方がいいから、改正した方がいいと私は思っている」と答え、私学助成に関しては「政府としては違憲とは考えていない」と答えた。さらに、公務員制度改革に関しても組合とよく話し合うよう求めた。また佐々木議員は、豪雪に関して、自衛隊の除排雪への出動を求めた。

 政治とカネの問題に関して佐々木議員は、まず橋本元首相、青木議員、野中元議員を不起訴処分としたのは不当とした東京検察審査会の議決について「私は裁判を傍聴した。言い分が食い違っている。関係者の証人喚問、参考人招致が予算委員会の場で必要だ。集中審議を」と要求した。さらに、杉浦官房副長官が収支報告書を2度訂正したことを取り上げ、「何故か」を質した。杉浦副長官は「勘違いをしたので訂正した。反省している」と答弁。佐々木議員は納得せず、「訂正によって繰越金が1000万円減っている。どこに行ったのか」と追及。副長官は明確には答えず、「実態に即して訂正した」とだけ答えた。

 佐々木議員は更に、杉浦副長官が自民党から受けたとされる政策活動費の領収書のコピーを8枚示し、「署名は本物かどうか」と追及。副長官は「自筆」と認めた。佐々木議員はこの領収書に、なぜ但し書きと日付がないのかを追及。副長官は「サインをした時に書いて欲しいと言われなかったので書かなかった。今後は日付を入れたい」と国民からの信頼回復には程遠い答弁。佐々木議員は質問の最後にも政治とカネの問題で集中審議を求めた。

 続いて質問に立った辻議員は、不起訴不当とした東京第二検察審査会の議決通知書を示し、不起訴は「国民の間に通用しない、納得しない」とし、この問題での首相のリーダーシップの発揮を求めた。首相は「検察に出されている。検察がどう判断するかの問題」とし、国民の政治不信を解消する意思の全くないことを露にした。辻議員はさらに東京新聞の1月28日の朝刊に久間自民党総務会長が、検察審査会の決定は「法律を知った人と知らない人の違いではないか」と発言したとの記事が報道されていることを取り上げ、「政治とカネの問題、事実解明に水を浴びせるような発言」だとし、首相に見解を質した。首相は「久間総務会長が本当に言ったかどうかは別にして、個人がどう言うかは自由」とこれまた、事件解明への総裁としてリーダーシップ、解明への意欲の欠片も感じられない答弁に終始した。

 日本歯科医師連盟からの1億円事件に関して辻議員は、歯科診療の初診料、かかりつけ医師の要件緩和の政策が、献金によって歪められたのではないかとし、「この時期、4億4000万円の献金がなされている。この結果、初診料収入だけで280億円も増えている。こうしたシステムをどう解決するかの問題」と指摘し、迂回献金の禁止を強く求めた。首相は「迂回献金はないとの報告を受けている」と答えるともに、政治資金規正法改正をどうするかは、与野党の協議で、とのいつもの答弁を繰り返した。

 続いて生方議員が、主として政治とカネの問題に関して質問を行った。生方議員は、「国会が開会するたびに政治とカネの問題が論じられ、国民の政治への信頼が低くなる。これでは改革などできるはずがない」と述べ、「徹底的な論議を通じて政治不信を晴らそう」と訴えた。日歯連事件については「国会で問題を明らかにすべき」と証人喚問を要求し、「総理からも、前向きに両党で協議をして欲しいという発言をいただきたい」と求めた。小泉首相は「証人喚問の要求合戦にならないよう協議していただきたい」と答弁した。

 杉浦官房副長官が行った政治資金収支報告書への訂正問題を例に挙げて、頻繁な訂正によって報告書自体が信ぴょう性を失うことを危惧した生方議員は、信頼を高める方法として政治資金規正法改正を訴え、先の臨時国会で提出された民主党案に言及。同案が、150万円を超える寄付を行い過失により訂正した場合は、重過失として罰則を設けているとし、改正への見解を小泉首相に質した。首相は「政争の具にせず、よく話し合っていただきたい」と述べるにとどめた。

 また、生方議員は 首相が会長を務めていた森派の政治資金収支報告書の一つを例にとり、多額の飲食代が「組織活動費」として計上されている事実を指摘。「使途制限がなく、組織を固めるため」活動費を使用する感覚は、一般国民の常識とかけ離れているとした。

 生方議員はこのほか、首相の政策秘書の使用している車と運転手の給与を、民間会社が提供している問題を取り上げ、長期にわたり肩代わりさせ政治活動に使えば寄付にあたるとし、政治資金収支報告書の訂正を求めた。首相は、「政策秘書といえども個人の活動がある」と政治活動との関わりを否定し、法律に則っているとあくまで主張した。生方議員は、日本振興銀行の免許申請の経緯と社長との雑誌対談について伊藤金融担当相、竹中民営化担当相(前金融担当相)に答弁を求め質問を終えた。

 続いて原口議員が質問に立ち、外交問題、不良債権処理問題、社会保障・医療行政問題、郵政民営化問題について幅広く鋭い質問を行った。

 原口議員はまず、ブッシュ米大統領の一般教書の中の外交演説の基調が従来よりも柔軟であることを指摘し、北朝鮮の核廃棄に向け国際協調の枠組みが必要であることについて質したが、小泉首相は一般論で答えるにとどまり、新たな状況への対応は見られなかった。また、原口議員は、拉致被害者の曽我さんが、以前は拉致被害者として認定されていなかったことの責任を誰も取っていないことを厳しく指摘した。

 続いて、原口議員は金融機関の不良債権処理問題に触れ、国民負担を最小化しかつ回収の現場が裏切られることのないよう、回収の時期を明示すべきだと迫ったが、金融担当相は従来の答弁を繰り返した。また原口議員は、朝鮮信用組合への1兆1千億円を超える資金贈与が、預金者保護というより野放図な人々を救っているのではないかと鋭く指摘した。

 続いて、原口議員は年金の株式による運用の惨憺たる実績を指摘して、政府の責任を追及し、さらに血液製剤によるC型肝炎の感染について政府の監督責任を追及した。更に、原口議員は郵政民営化問題に触れ、郵便局の果たす金融窓口としての機能などを指摘し、政府の株式保有割合などのあり方を質し、コミュニケーションのインフラを維持すべきことの重要性を訴えた。

 最後に、原口議員は首相に指定献金があるかどうかを問い質したが、首相は鈴木宗男元議員の証言などにもかかわらず、指定献金はないと強弁した。
関連URL
  (→ (参考)東京第二検察審査会 議決通知書(橋本元首相) )
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=4200
  (→ (参考)東京第二検察審査会 議決通知書(青木議員、野中元議員) )
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=4196
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